09_「自分をブランディングしてみよう!」

こんにちはー!

 

今年は桜があっという間に咲いてすでに葉桜ですね。

昨年の今頃は緊急事態宣言が初発令され、会社ではドタバタ対応に追われていたことを昨日のことのように思い出します。

 

あれからはだいぶ落ち着いたけれど、まだまだ落ち着いていない・・

 

来年こそは桜の木の下でどんちゃん騒ぎできますように!!

 

 

さて、久しぶりに人事本の考察を進めたいと思います。

 

今回は、キャリアコンサルタントの試験を受けよう!と思い、当時、「キャリア 本」で検索し、購入した本についてです。

 

昨年8月に買ったはいいものの、試験勉強に集中してしまい、結局、読み始めたのは試験終了後。

 

ただ、タイミングとしては、新卒の就活のときに読みたかったーーー!!

 

この本がもっと早く世に出されていたら、私の就活は大きく変わっていたかもしれない・・・

 

新卒に限らず、

自分のキャリアに迷っている方、

何か挑戦したいけど二の足を踏んでいる方、

このままで私良いのかな・・と漠然に悩んでいる方、

 

ぜひぜひこちらの本を読んでほしい!!

きっと活路が開けるはずです!

 

苦しかったときの話をしようか

苦しかったときの話をしようか

 

 

著者の森岡毅さんはUSJ復活の立役者。

 

マーケティング専門のマーケターでありながら、組織や人についても自らの理論を展開しており、特に本書で紹介されている、キャリアをマーケィングと同様の考え方で適用させているのは新しい!と思いました。

 

そしてこの本の何よりの特徴が、これから就活を迎える森岡さんの娘さんに向けて、父として書き留めたものを書籍化したということ!!

 

初めは資本家の話や世の中の構造についてのお考えを述べていて、正直、ちょっと固いな、お父さんから長話されている気分だな、娘さんが黙ってしまう気持ちもわかるな、と思いながら読み進めていました。

 

しかし、第3章からは自分のキャリアを考える具体的な方法が説明され、自分をブランディングするなんて面白い発想だと思いましたし、殊に第5章は感動感激!!本のタイトルの意味が最後にやっとわかった!!

人事の本で泣けるなんて想像していませんでした。

 

時間のない方は第5章だけでも読む価値あり!!

勇気が出ます。

 

ただ、今回は、第5章の「苦しかったときの話」ではなく、就活の時に知っておきたかった、また、これから実践してみたい、「自分のブランディング方法」について、ここに書き留めたいと思います。

 

 

その1.キャリア戦略のフレームワーク

 

著者は、まだ何をしたいのかよくわかっていない娘さんのために、「キャリア戦略のフレームワーク」を解説することで、こういう順番で考えれば、人生の方向、自分の特徴、自身の強みと弱みを知る手がかりを得て、どのような職能を選べば良いかがわかる手順を示しています。

 

 

まず内容に入る前に、私の新卒時の就活を振り返ってみたいのですが・・

 

巷の就活セミナーなどでは自己分析が重要だと何度も聞いたにも関わらず、己のことをよく理解もせずに、就活の軸が定まらないまま、とにかく幅広い業種の企業を受けまくっていました。

 

人材紹介、旅行、銀行、教育、メーカー、商社、保険、ホテル、物流・・・

 

約50社くらい受けたかと思いますが、散々な結果に。

 

今思えば、「自分は何がしたいのか、どうなりたいのか」を明確に定めていなかったことが敗因だったように感じます。筆者の言葉を使えば、とりあえずたくさんの会社を回り始めた「戦略なき愚か者」ですね・・

 

やはり目的が曖昧では、どの企業が良いのか選ぶのは難しく、反対に、目的が明確になれば、企業に対する自己アピールにも一貫性が出て、受かりやすくなっただろうと思います。

 

(最終的には、前職の会社に拾っていただき、憧れの人事職につくことができて、なんとか就活の失敗はカバーできたと思っていますが・・)

 

本書では、キャリア戦略を立てる上で、まず「目的」の重要性を説いています。

 

①まずは目的を立てよう

 

キャリア戦略は文字どおり「戦略」だから、君のキャリアにおける目的があって初めて機能する

(本書P109引用)

 

目的が不明確であれば戦略は立てられないため、まずは仮でも良いので、今の自分にベストな「キャリアの目的」を設定します。

 

ただ、なかなか人生の夢や人生の目的を考えるのは難しいですよね・・

それが明確であれば苦労しません。

 

そこで、目的が見えてくる発想法が紹介されています!

 

具体的な"こと"から発想するのではなく、"どんな状態"であれば、自分はハッピーだろうかという未来の理想"状態"から発想すること

(P112引用)

 

つまり、自分は何がしたいのか?何を極めたいのか?と自問自答するのは苦しいので、まずは、「自分がどんな状態になっていればハッピーなのか?」を考えてみるということです。

 

次に、その理想状態を実現するために必要なことは何かを具体化させていきます。

 

例えば、著者の森岡さんは就活生の時このような理想状態・目的を考えていたようです。

 

【理想の状態】

人の力を束ねて大きな事業ができるような人間になれれば痛快だろう

【キャリアの目的】

経営者になるためのスキルと経験を積むこと

 

 

みなさんは将来どんな状態になっていたらハッピーですか?

 

 

②己の最大重要資源「強み」を認識する

 

仮説ながらでも目的が設定されれば、次はその目的に向かって戦略を立てていきます。

 

戦略を立てる際には、己の資源を認識することが重要であり、キャリア戦略においては、「ヒト」の「強み」を最大重要資源とし、それを見つけて伸ばしていくことがキャリアの明暗を分けることになります。

 

では、どのように自分の強みを探せばよいのか?

これも具体的な方法が紹介されています。

 

"強み"を見つける最大の近道は、「社会との関わりで気持ちよかった文脈(自分が好きなことをしている文脈)」をどんどん列挙することだ。

(P118引用)

 

好きなことをしている文脈こそ、それが強みとしてすでに発揮されている可能性が高いという考えのもと、まずは今まで自分が好きだったことを書き出していきます。

最低50個、できれば100個くらいの好きな行動を書き出すのが目標です。

このとき、「名詞」を入れないように注意します。

(「カレーが好き」などは強みにはなりえませんので、「動詞(~すること)」を書く)

 

私も早速考えてみました。

 

【好きなこと】

・資料を作成する

・文章を考えて書く

・業務を改善する

・イベントを企画する

・プログラムを考える

・サプライズを考える

・人に教える、説明する

・整理整頓する

・新しい知識を吸収する

・外国人と話す

・異文化を学ぶ

 

 

どうしよう。。全然思いつかない。。

 

 

こんなときは、自分のことをよく知っている家族や友人に「自分が生き生きとやっていることは何?」と聞いてみたり、懐かしいアルバムや動画を見ながら、幼少期の自分から今までを振り返り、どんなときに自分が充実していたか、何をしているときが面白かったか、いくらやっても飽きなかったことなどを思い出すように推奨されています。

 

 

次に、書き出した動詞を以下3つに仕分けします。

 

①T:Thinking【考える力】

②C:Communication【伝える力】

③L:Leadership【変化を起こす力】

 

この3つは、どの職能においても重要なビジネスパーソンとしてのコンピテンシーとして著者が分類しています。

 

そして仕分け後、最も集中している系統こそが自分の属性となり、そこに強みが現れています。

 

まとめはこちら。

 

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P141 図表を抜粋

 

私はおそらく、Tの傾向が強い気がしました。

 

(TというとTT兄弟を思い出してしまう・・・)

 

これでわかった自分の強みを伸ばしていける会社を選べば、自分のキャリア目的を達成しやすくなるということですね。

 

 

その2.「My Brand」の設計図

 

続いて、マーケティングノウハウをキャリア戦略に応用させた自分自身のブランディング手法についてです。

 

 

自分をブランディングするとはどういうことなのでしょうか?

 

購買者の頭の中で自社ブランドが選ばれる確率が上がるようにブランドへのイメージを操作することを「ブランディング」という。そのブランディングこそがマーケターの仕事の核心だ。

(P162引用)

 

つまり、キャリア戦略において「自分をブランディングする」とは、面接官や評価してほしい相手が自分という商品を選んでくれる確率を上げるために、自分自身のイメージを操作することといえそうです。

 

そのためには「My Brand」をしっかり設定し、それ通りに自分が認識されるように、一貫した行動を心がけることが必要になります。

 

ここでキーとなる「My Brand」の設計図は下記のようなピラミッドを用います。

 

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P165 ブランド・エクイティー・ピラミッド(キャリア開発用・簡易版)抜粋

 

これは実際にマーケティングで活用されるブランド設計と共通しており、キャリア開発用に作成されたようです。

 

まずは上から順に設定していきます。

 

①攻略する市場:ブランドが参入する活動領域

(キャリア戦略に置き換え:自分の資源を活かす労働市場

(例)「自動車業界」「女性にとって働きやすい職場」「マーケティングを習得できる会社」など

 

 ②ターゲット:資源を集中的に投入する標的

 (キャリア戦略に置き換え:少しでも時間や気力などの資源を費やして、 My Brandのイメージを残すべきくくり)

(例)「面接官」「相手企業の関係者」

 

③便益:購買者がそのブランドを買う本質的な理由、価値

(キャリア戦略に置き換え:相手企業にとって自分を選ぶ理由、価値)

(例)リーダーシップに優れている

 

④RTB:ブランドの便益を信じさせる根拠

(キャリア戦略に置き換え:自分の価値を信じさせる根拠)

(例)部長や委員長などに選抜されて成果を残していること

 

⑤便益を提供する主な手段:便益を具体的に実行するためのプラン

(キャリア戦略に置き換え:便益が発揮される具体的な方法)

(例)困難な状況でも人のモチベーションをあげる、感情に流されずに正しい判断をする姿勢が常に一貫している

 

⑥ブランドキャラクター:擬人化したブランドの性格

(キャリア戦略に置き換え:ターゲットからどのような人柄だと思われたいか)

(例)積極的、冷静沈着

 

 

このように1つ1つ設定しながら、My Brand設計図を作成していきます。

 

私も作成してみました。

 

 

 

・・・と言いたいところですが、これはかなり時間がかかりそう!!

ということでまた今度、時間を見つけてじっくり取り組んでみたいと思います。

 

これが完成すれば、あとは設計図に沿って一貫した行動を取り、結果を出していくことで、理想の自分に近づき、人生の目的を達成することができるでしょう。

 

 

キャリアコンサルタントで学習した、レビンソンの成人発達理論でいえば、28~33歳はまさに「30歳の過渡期」として新たな人生への重要な選択に悩む時期。

 

今後のキャリアをどうするか、まずは人生の目的を設定して、その目的を達成するためにキャリア戦略を立て、My Brand設計図に沿って、理想の自分に向かって努力していきたいですね!

 

 

今回はキャリア戦略を考える方法などテクニカルな話に終始してしまいましたが、本書では、著者の力強い思いが伝わってきて、怖がらずに挑戦してみよう!と背中を押してくれるような本だと感じました。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

大阪ではまたコロナ感染者が増えてきて、まんぼうから緊急事態宣言が再発令となりそうですね・・

USJのマリオカート乗りたいけどいつになるかなぁ~

 

再開します!

みなさま、お久しぶりです~!!

 

昨年8月を最後に、約8ヶ月ぶりの投稿になります。

 

きっともう終わっちゃったんだなと感じて誰も見ていないと思うのですが、こっそり再開させていただきます。

 

 

実は、一回休憩を挟んだのは、「キャリアコンサルタント」という国家資格を取得しようと勉強に励むためでした。

 

そして、無事に合格することができました♪

 

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これから登録手続きが済んだら、「キャリアコンサルタント」として名乗ることができるようになります!

(キラーン)

 

昨年8月から12月まで、ほぼ毎週土曜日9:30~18:30までオンライン講座を受講し、その後は3月の試験に向けて、10回以上勉強会に参加してきました。

 

私にとっては10~11月あたりがとってもキツかった・・

 

頼りにしていた職場の先輩が退職し、先輩の仕事をすべて引き継ぐことになったことに加え、マイホームを建てるために毎週日曜日は打ち合わせに・・

 

キャリコンの勉強・マイホーム手続き・仕事の引き継ぎと三重苦になり、平日休日ともにゆっくり過ごす時間がほとんどなく、常に疲れていました。

 

それでも自分で選んだ道だと思い、歯を食いしばってすべて妥協することなく、今では3つともに満足いく結果になりました。

 

昨年は本当に頑張ったと自分で自分を褒められる1年でしたし、ここまで頑張ることができたのは、旦那が積極的に家事全般を担ってくれたおかげだと思います。

 

本当にいつもありがとう!!!

 

 

自分を労い、旦那に感謝の気持ちを伝えたところで、キャリアコンサルタントの話に戻ります。

 

もともと、キャリアコンサルタントには興味があり、社会人2年目のときに説明会には参加していました。

 

ただ当時は、「30万円」という受講料に尻込みしてしまい、また今度機会があったら・・と諦めていました。

 

 

そして、今回は転職後数か月が経ち、少し余裕が出てきたところで、今後、人事としても役立てられる資格だと信じ、思い切って申し込むことにしました。

 

 

ところで、みなさんはキャリアコンサルタントという資格はご存知でしたか?

どんなイメージでしょうか?

 

学習前の私のイメージでは、大学生の時に就活センターにいた方々のような、就活のアドバイスをする専門家?と思っていました。

 

しかし!私がオンライン講座を受けて一番衝撃だったのは、「キャリアコンサルタントは基本的にアドバイスしない」ということでした。

 

え?じゃあ何をするの?

 

学習後の私の解釈としては、「職業に関する相談者の悩みについて、結局どうしたいのか、自分はどうありたいのかという答えは相手の心の中にあるものなので、それを見つけ出し、後押ししていくようなかかわり」ですかね。

 

おそらく20回以上はロールプレイの練習をしましたが、相談者の話を聞きながら、常に、「相手が大事にしていることは何なのか」ということにアンテナを張り、相談者自身が「自分は今何に悩んでいて、それはこういうことを大事にしているからなんだ」と、自ら気付いてもらえるようにかかわっていきます。

 

不思議と、自分のことがわかるだけでもスッと気持ちが楽になり、答えが見えてくることがあります。

 

 

オンライン受講や勉強会、自己学習を進める中であらゆることを学びましたが、今後は、社員のキャリア形成支援にこの資格を役立てたいと思っています。

 

社員が自分のありたい姿を明確にし、目標に向かってイキイキと働けるように取り組んでいきたいです!

 

そして、何より、一緒に勉強した仲間に出会えたことが嬉しかったです!!

なかなか社会人になると、会社以外での新しい出会いは少なくなりますが、今回は、20代~60代まで幅広い世代の男女で同じ目標に向かって勉強ができ、とても楽しかったです!

 

いろんな経歴の方がいますが、皆さん士気が高くて、私もたくさん励まされました。

本当にありがとうございました。

これからもよろしくお願いいたします!!

 

 

さて、無事に合格したところで、これからはまた人事の勉強を再開し、さらに英会話学校にも通うことにしました!

 

新たな目標に向けて、次なる一歩を踏み出したいと思います。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

もうすぐGW!あと2週間ほど乗り切りましょう♪

 

ちょっと休憩します!

みなさんお疲れ様です!

 

前回の投稿から1ヶ月が経ってしまいましたが・・

 

実は、ある国家資格の取得を目指して勉強に励むことにしました。

人事としてのスキルアップにも必ず役立つ内容だと思っています。

というわけで、本を読んでブログを書くのはしばらくお休みします。

 

まだ10冊分も至っていない状況ですが、「ブログ読んだよ!」「次回も楽しみにしています!」と感想をいただける方や、コメントを書いてくれる方もいて(約1名ですが笑)大変嬉しく思いました。

 

ありがとうございます!!

 

また、無事に試験が終了した暁には、ブログを再開したいと考えています。

 

合格できるように頑張ります!!

 

皆様も酷暑の中、熱中症に気を付けてお過ごしくださいませ。

 

 

かしこ

 

 

 

08_「やる気を高める効果的な目標設定とは?」

メルハバー!

(どこの国のあいさつでしょう?)

 

ここ最近になって、またまた東京界隈ではコロナ感染者が増えてきて、九州を中心に豪雨も重なり、まさに八方ふさがりのような状況が続いていますね。

 

 

マスクを付けず、三密恐れず、出かけることに後ろめたさのない、開放的な毎日が恋しい今日この頃ですが・・・

 

医療従事者の方々を応援しつつ、何でも前向きにとらえて、今だからこそできることをやりたいですね!

 

 

 

前回はいったん「やる気」のキーワードから離れましたが、心理学といえばこの人でしょう!と思う人の本も購入していましたので、またモチベーション関連の内容に舞い戻りたいと思います。

 

心理学の三大巨匠ともいわれるフロイトユング・あともう1人は誰でしょう?

 

ドラッカーに続いて著名になった海外の学者ではないでしょうか。

 

その学者(医師)はあらゆる分野で応用できる学問を確立されましたが、私は今回その中でも、よりビジネスに活かせそうなこちらの本を選びました。

 

 08_アドラー心理学による「やる気」のマネジメント

-モチベーションを高める7つの手法

 

はい、アルフレッド・アドラーですね。

みなさん1度は聞いたことありますね?

 

「嫌われる勇気」という青いハードカバーの本は、哲学者と青年の対話形式でアドラーの思想を解き明かすといった内容でベストセラーになっていますし、アドラー心理学に基づいた子育て法の本なども沢山出版されています。

 

嫌われる勇気 マンガでやさしくわかるアドラー式子育て まんがで身につくアドラー 明日を変える心理学―――誰でも3日で変われる。(Business ComicSeries)

 

 

 

彼はオーストリアで生まれたユダヤ人で、もともとは内科・眼科・精神科の医師でした。

 

その後、独自の「個人心理学」という理論体系を構築し、今日の「アドラー心理学」に発展しています。

 

 

本書では、非常に読みやすい文章で、アドラー心理学の基本的な価値観や、やる気を高めるための実践的な考え方を学ぶことができました。

 

また、アドラーだけでなく、あらゆる偉人の名言や童話などの例示が多く活用されているところも面白いと感じました。

松下幸之助の名言や不思議の国のアリスの話、歌詞もありました)

 

今回はその中で特に印象深かった例示も含めて記録に残し、やる気が維持できなくなった時に見返したいと思います。

 

 

その1.「目標」に着目せよ!

 

アドラー「人には目標を追求し達成しようとする欲求がある」と述べました。

 

本書におけるやる気を高めるためのキーワードは、ずばり「目標」です。

とにかく目標が大事。

 

まずは、誰からかに与えられた目標ではなく、自ら考えて目標をつくることがやる気を高める上で重要であるということを下記図を用いて説明します。

 

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命令と自律のマトリックス(引用:p18 図1)


それぞれ説明すると、以下の通りとなります。

 

①自律性あり×命令あり・・・第Ⅰ象限

(他人から命令された仕事を自発的に実行)

②自律性あり×命令なし・・・第Ⅱ象限

(他人から命令されることなしに、自らの意思のみで行う)

③自律性なし×命令あり・・・第Ⅲ象限

(命令された仕事を自律性なしに機械的にこなす)

④自律性なし×命令なし・・・第Ⅳ象限

(何もしない、やる気皆無の状態)

 

さて、どの象限が一番やる気の高い状態でしょうか?

 

もう勘の鋭い方は気付いているかと思いますが、逆コの字を書いた黄色い矢印の順番にやる気がアップしていきます。

つまり、Ⅳ→Ⅲ→Ⅰ→Ⅱの順番ですね。

 

そして、まったく同じ活動であっても自らの意思でどちらの象限に位置付けるか決められるということが重要です。

 

 

そこで!例示として登場するのが、「トム・ソーヤの冒険」の一場面です。

 

ところで、トム・ソーヤの物語、みなさん読んだことありますか?

 

私は幼いころ、正方形の絵本(永岡書店のアニメ絵本シリーズ)が大好きで、沢山買ってもらっていたのですが、そのシリーズで読んだ覚えがあります。

 

↓ これこれ!懐かしい~!まだ実家にあるかな・・?

トム・ソーヤーのぼうけん (名作アニメ絵本シリーズ (61))

 

(あらすじは・・・忘れたので割愛しますね)

 

トムはいたずら好きのわんぱく少年なのですが、なんと、第Ⅲ象限から第Ⅱ象限へと自ら転換している場面があるのです!!

 

~「トム・ソーヤの冒険」はじまりはじまり~

 

ある日トムは、ポリーおばさんの家の塀をペンキで塗るという退屈な仕事を命じられました。

 

トムは意気消沈して仕事に取りかかりますが、素晴らしいアイディアが浮かびました。

嫌々とペンキを塗るのではなく、芸術家のようにペンキを塗って友達をうらやましがらせようとしたのです。

 

そこへ友達のベンが通りかかりました。

「やぁ、トム。ペンキ塗りかい。ははぁん、仕事を言いつけられたんだな」

ところが、トムはこう返します。

「え、仕事って何のことだ。これはポリーおばさんが大事にしている塀だぞ。それにペンキを塗れるなんて、こんな機会が毎日あると思うかい」

と、トムは慎重にペンキを塗ります。

 

その姿を見たベンはペンキが塗りたくなってきました。

しかし、トムは断ります。するとベンは余計に塗りたくなります。

とうとうトムは、リンゴと交換するという条件で、初めてベンにペンキを塗らせてやります。

 

その後も、何人か通りかかった別の友達も、楽しそうに仕事をするトムに騙され、トムの代わりにペンキを塗るのでした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

こんな場面あったっけ・・!?

という感想は置いといて。

 

この場面からわかるように、トムは、「ペンキを塗る」という与えられた命令に対し、「友達に代わりにやってもらう」ことを自ら目標として掲げ、楽しみながら工夫を凝らし、報酬(リンゴ)までもらって、結果的に与えられた仕事も達成しています。

(やり方がいいか悪いかは別として。。)

 

命令を受けたままに仕事をすることは時に退屈になります。

 

しかし、1つ命じられた目標があったとしたら、それを越える自分オリジナルの目標をつくってしまうことで、もはや命じられた目標ではなくなり、モチベーション高く取り組むことができるようになります!

 

これは気持ちの持ちようで変わります。

仕事上、常に実践したいと思います。

 

 

あと目標についてもう1つ。

 

目標を自ら定める際には以下のことを考慮する必要があるとされています。

 

その活動から、「価値・熱意・意義・喜び・幸福」を感じられ、自分の強みを活かし、社会に貢献できることである

 

つまり、以下3つの要素が重なる領域こそが、私たちが集中して力を注ぐべき目標になります。(図で表すと下記ベン図の通り)

 

①自分にとって価値あることである

②自分の強みが活かせることである

③社会に貢献できることである

 

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価値・強み・貢献(引用:p173 図10)

この中央にある赤い三角の領域の活動は、私たちのやる気を高めるどころか、人生を充実させることができる、いわば「人生の目標」にもなりうるでしょう。

 

 

みなさんの人生の目標は何でしょうか?

今、その目標に向かって進めていますか?

 

 

なんとなくやる気が出ないときは、一度立ち止まって考えてみると良いかもしれませんね。

 

 

その2.印象に残った言葉

 

先述した通り、本書では多くの名言や物語の一部を補足説明として活用されていて、それが意外と印象に残ってしまったので、下記にいくつか羅列したいと思います。

 

みなさんの心にも響く言葉があるかもしれません。

 

 

◆アルフレッド・アドラー

「人間であることは劣等感を持つことである。」

(アルフレッド・アドラー著、岸見一郎訳「生きる意味を求めて」より)

 

「実際、私には、われわれ人間すべての文化は、劣等感情に基づいているとさえ思われる」

(アルフレッド・アドラー著 「人生の意味の心理学」より)

 

まずは今回主役のアドラーの名言。

劣等感をポジティブに捉えるというのは初めての感覚で印象に残りました。

 

でも確かに考えてみると、例えば「私は英語が話せない」という劣等感があるからこそ、「もっと英語を話せるようになりたい」と思い努力し、人は成長すると言っても過言ではないですよね。

 

ただし、アドラーは、この劣等感を抱いた際、マイナス方向や間違った方向に進まないよう注意を促しています。

 

劣等感がマイナス方向に作用することを「劣等コンプレックス」と呼びますが、自分が人と比べて劣っているものを見せるのが嫌で、引きこもったり逃げたりすることです。これでは自分の成長につながりません。

 

また、劣等感が間違った方向に作用することを「優越コンプレックス」と呼びます。

これは、劣等感を補うためには多大な時間や努力が必要になりますが、その辛い作業を回避したいがために、楽して自分の存在を社会に認めさせたいという態度のことをいいます。

 

例えば、社会の中で重要な地位を占められない人が大きな自動車に乗って自分をアピールしたり、自分の強さを誇示したいために大きく獰猛な犬を飼ったり・・

(周りに思い当たる人はいませんか・・?)

 

そしてこの2つのコンプレックスの共通点は「自己利益のみ追及している」という点です。

 

しかし、劣等感を補うためのたゆまぬ努力は、社会の利益につながり、結果的に自己利益をももたらします。

 

見せかけではなく、本当に自分に自信をつけるためには楽しては決して果たせないと思いますので、劣等感を正しい方向で捉え、努力していくことが必要ですね!

 

 

ピーター・ドラッカー

「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。もちろん、できないことによって何かを行うことなど、とうていできない。」

ピーター・ドラッカー著、上田惇生訳「明日を支配するもの」より)

 

ドラッカーといえばこちらの本!流行りましたよね~!

略して「もしドラ」!

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

マネジメントといえば最初に思い浮かぶ経営学者ですね。

また、この本が学術的な本を漫画(アニメ)にした草分け的な存在だったように感じます。

 

このドラッカーの言葉は、新しい気付きというわけではなく、ごく当たり前のことを伝えているのですが、妙に頭に残りました。

 

弱点を克服した平均的な能力ではなく、自分の強みを強化することで、社会により貢献できる。

 

前述した「人生の目標」を立てる際にも、自分の強みを活かしたいですね!

 

 

孫子

「昔のよく戦うものは、先ず勝つべからざるをなし、もって敵の勝つべきを待つ。勝つべからざるは己に在り、勝つべきは敵に在る。ゆえによく戦うものは、よく勝つべからざるをなす。敵をしてこれに勝つべからしむることをあたわず。」

(中国古典「孫子」「形篇」より)

 

平たく言えば、敵に負けない態勢の構築は自身の問題であり、敵に自ら負ける態勢を作らせることはできない。

つまり、自分でコントロールできない問題に思い煩うのは無意味で、自分でコントロールできる問題に焦点を当てるしかない、といった意味の言葉です。

 

本書では、他人と比較して嫉妬したり自信喪失したりするのではなく、他人はコントロールできないのだから、自らコントロールできる自分の成長に注力しましょうといったことを伝えるために孫子の言葉を活用されています。

 

確かにそうだ、と納得できる名言だと思いました。

悩んだ時には2500年前に残した孫子の言葉を思い返したいです。

 

孫子の兵法も一時期流行りましたよね。

やはり何かを成し遂げた偉人の言葉はためになりますね。

 

 

 

なんだか最後は偉人の名言集になってしまいましたが、本書では、アドラー心理学をもとに、モチベーションに火をつける「7つの手法」が紹介されています。私が書き記したのはその一部です。

 

今回は載せませんでしたが、第6章のスケジュール管理方法は、グーグルカレンダーを使った非常に具体的な説明があり、ぜひ実践したいと思った内容でした。

 

アドラー心理学によるモチベーションの高め方とはどんな方法なの?と気になる方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

今日はある資格取得のオンライン説明会に参加し、初めて知らない人とオンラインで会話をしました。

 

私はビデオ設定していたのですが、あとから皆さんほとんど顔を出していない!ということがわかり、ちょっと恥ずかしかったです・・

 

最後の質問タイムがかなり時間延びていて、早く終わらないかな~と思いつつ、ふと参加者一覧を見たら、これまたほとんどの方がすでに退出していたことに気付き、みなさんオンライン慣れていらっしゃる・・と少し置いてけぼりな気分に。笑

 

なんだかオンラインで人との距離が近付いたような、遠ざかったような、不思議な感覚を覚えました。

 

さて、梅雨明けはいつかな~

 

 

 

07_「人事においてもデータ活用が求められる時代がやってきた!」

Hola!Como estas?

(いつも同じ挨拶だと飽きるので今日はスペイン語にしてみました。大学時に学んだ第二外語です。)

 

やっと少しずつ外出できるようになってきましたね。

 

上野動物園も再開したとのこと。

動物たちもこれまで静かな環境に慣れてしまっていて、急な来客対応に疲れてしまうのではないかしら?

(人間も同じですね笑)

 

さて、動物たちに負けじと今日も頑張っていきましょう!

 

今回は、「やる気」とはいったん離れて、現代、人事として必要とされている分野について学ぼうと思いました。

 

以前からその分野に興味がありましたが、資金豊かな大手企業でないと実現できないのでは?と、学ぶことすら半ば諦めていました。

 

しかし、いつか必要になるときが必ずやってくると思い直し、かっこいいタイトルに惹かれたこちらの本を購入しました。

 

 07_「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」

日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用

日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用

  • 作者:大湾 秀雄
  • 発売日: 2017/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

みなさんの職場では、よく「PDCAを回せ!」と言われていませんか?

私も、前職では新入社員研修で学び、生産現場ではよくそのフレーズが聞かれました。

 

Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の4段階を繰り返し、業務を継続的に改善していく技法ですよね。

 

しかし、実は、人事の分野においては、計画・実行で終わってしまうケースがほとんどで、評価に基づく改善策の議論までたどり着くことはあまりありません。

 

例えば、研修をひとつとっても、計画・実行だけで満足してしまい、研修の効果を測定せず改善できていないという企業も多いと思います。

 

評価をするためには、情報やデータを定量的に分析するスキルが必要になりますが、人事職には文系出身が多く、統計リテラシーに長ける人がいないという理由などで、計画・実行の次に進んでいないのかもしれないと言われています。

 (かく言う私も文系です・・)

 

でもそうも言ってはいられません!

 

働き方改革、女性活躍推進、再雇用社員活用、ストレスチェック・・・

 

今現在、あらゆるテーマの中で人事データの活用が促されています。

いままさに、蓄積したデータを活用し、人事を「見える化」することが求められているのです!

 

 

本書では、現代の日本の人事課題をテーマに、人事データの適切な活用方法を学ぶことができます。

 

実際の分析方法については細かく説明されていませんが、分析にあたっての様々な切り口が提示されています。

 

ご丁寧に、数学的素養がある方に対しては、テクニカルノートというページが各章に設けられていて、統計学に関する難しい計算式の説明もついています。

( ∑ このマークが顔文字の一部にしか思えない文系の私はすっ飛ばしました。)

 

 

 Σ(・ω・ノ)ノ!

 

 

現職では人事の頭数も少なく、分析したり課題検討したりする余裕がないのも事実ですが、いつか実践できるようにデータ活用の素養を身に付けておきたいと思います。

 

今回は、日本の人事課題の中でも、特に気になった2つのテーマについて、書き綴らせていただきます。

 

 

 

その1.女性活躍がどれだけできているか把握する

 

2015年8月、働く女性の活躍を後押しする法律として、女性活躍推進法が国会で成立されました。

 

労働人口が減少の一途をたどる中、政府は女性や高齢者などの就業率を上げようと躍起になっていますよね。

 

やはり自分は働く女性として、このテーマは大変興味があります。

 

これまでの職場において、女性だからといって差別を感じたことはあまりありませんでしたが、今後の人生を考えると、女性としてのキャリアの停滞に葛藤せざるを得ません。

 

世の多くの女性が、家事育児と仕事の両立に悩んでいるはずです。

 

 

よく話の引き合いに出されるのが女性管理職比率についてですが、国際労働機関(ILO)が2018年に発表した報告書によると、世界の管理職で女性が占める割合は約27%、そのうち日本はたった12%に留まっています

国際平均から大きく下回り、主要7カ国(G7)でも最下位。

 

なぜ日本では女性活躍の機会が広がっていないのでしょうか?

 

著者は以下3つの理由を挙げています。

 

①不平等な家庭内分業(家事育児の女性負担割合が大きい)

長時間労働の問題(時間的制約のある女性が進出できる業務が限られる)

③遅い昇進(管理職選抜の前に女性は出産適齢期を迎える)

 

女性が家事育児をやるものだといった固定概念や、長時間労働を厭わない社員が優先的に登用される風潮は確かに女性にとって活躍を妨げられる要因だと納得しましたが、「遅い昇進」というのは新しい視点でした。

 

日本では40代近辺でやっと課長職になるというのが一般的ですが、もし早くから優秀な若い女性に対してあらゆる経験を積ませ、「会社はあなたに期待している」といった意思表示をすれば、キャリア志向の女性は出産を迎えたとしても、会社を辞めずにその後もチャレンジする可能性が高まるでしょう。

 

しかし、多くの企業では、女性が出産するとそこからキャリアコースが分かれ、昇進・昇格からは遠ざかり、物足りなさを感じる優秀な女性は会社を去ってしまうといった現状もあるようです。

 

①を解決させるためには、固定概念の払拭や政府介在の政策が必要になり、大変難しい課題ですが、②や③は企業努力で改善できると考えられます。

加えて、各企業が自社独自の課題を見つけ出し、改善していくことが重要です。

 

 

ここまでが女性活躍推進の背景となります。

次から人事データ活用について話を進めます。

 

 

先述した女性活躍推進法では、2019年の法改正によって、101人以上の事業主等に対し、女性の活躍状況の把握や課題分析、数値目標の設定、行動計画の策定・公表などが義務付けられました。

 

事業主は以下4つについて現状把握・課題分析することが求められています。

 

①女性採用比率

②勤続年数男女差

③労働時間の状況

④女性管理職比率

 

もちろん上記義務内容は各企業で取り組む必要がありますが、本書では、自社においてどれだけ女性活躍ができているのか、多角的なデータ分析によって実態把握することが重要と考え、各手法が紹介されています。

 

例えば!

 

男女賃金の格差をみる

男女間の賃金格差は年々減少傾向にあるものの、いまだに国内において、正社員女性の賃金は正社員男性の賃金の75%程度となっています。

 (参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構HP)

 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0406.html

 

まずはこの数値と自社の数値を比べ、それより上か下かで自社の立ち位置がわかるでしょう。

 

また、分析をする際は、学歴や年齢、勤続年数などの属性が賃金に影響を与える要素となるため、回帰分析によってこれらの影響を極力排除し、同じ属性にあたる男女の賃金格差をみる必要があります。

 

※回帰分析とは、観測データ{(xi,yi)ただしi=1,...,n}のxiとyiの間にはどのような関係があるのか、明らかにするための分析です。(p.45 テクニカルノートより引用)

大学のゼミの卒論で重回帰分析などやった覚えがありますが、当時はよく理解して取り組んでいたなぁと感心します。(遠いまなざし)

 

そして、この回帰分析を行うことで、賃金格差が生まれる経路が把握できるのです。

例えば、本人や仕事の属性、労働時間をすべて排除してもまだ賃金格差が残る場合、評価や昇進などの男女間の差異が賃金格差を生んでいる可能性があると考えられます。

 

 

女性活躍が進んでいるかどうか把握するための指標は他にも紹介されています。

 

 

◇女性の配置部署に偏りがないかどうかをみる

企業経営に関わる上層部に登用するには、複数の部署を経験させ、ジェネラリストとして育成する必要があります。

女性を一部の部署に偏って配属させていないかどうか検証することで、女性管理職層の拡大を阻んでいる原因が判明するかもしれません。

 

従業員満足度調査で男女の回答の違いをみる

従業員満足度調査を定期的に実施している会社は、回答結果から男女の差が目立つ項目に注目することで、男女格差をなくすために必要な改善テーマが見つかる可能性があります。

例えば、「全社的ビジョンや戦略について理解している」という項目において、男性の方がYESと回答した数が多かったとすると、各職場において女性に対する情報共有が少ないといった課題があるかもしれません。

 

 

このように、人事データを活用し、あらゆる視点から自社の男女格差を点検することで、女性活躍推進に向けた自社課題に取り組める一歩を踏み出すことができるとわかりました。

 

 

 

その2.社員の定着率を上げるために考えるべきこと

 

続いては、離職率や社員の定着に関するテーマです。

 

今現在、終身雇用の崩壊で人材が流動化したり、少子高齢化で労働力不足となる中、多くの企業にとって社員の定着率を上げることが重要な課題となっています。

 

前職においても、若手社員の離職が増えている現状を踏まえ、私も教育担当として何か対策を講じることができないか、頭を悩ませました。

 

また、大学のゼミでお世話になった先生は、勤労者のキャリアに関する分野や社員の定着(リテンション)に関する研究をされているということもあり、あらゆる講演会に引っ張りダコのようです。

 

 

離職率を下げようとするためには、まず離職理由を調査して課題を見つけ出すという方法を考えてしまうのですが、本書では「賃金」について考える切り口が紹介されていました。

 

 

一般に、離職率は、下記グラフの通り、年齢や勤続年数が上がるにしたがって下がっていく傾向があります。

 

理由としては、以下2つ挙げられています。

①その企業でしか使えない知識や技能を従業員が体得していくに連れて、離職することで失う所得が上昇していくから

②会社の社風やビジョンに共感できない人や業務の厳しさについていけない人が辞めていき、結果的に社内には相性の良い人の割合が高まっていくから

 

 

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年齢階級別入職率・離職率(平成29年)男女グラフ


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査」)

 

しかし、離職率と逆の動きをするのが「賃金曲線(賃金カーブ)」です。

 

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性別、勤続年数階級による賃金カーブ

(引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構HP 図5賃金カーブ)

 

 

年齢や勤続年数とともに、従業員の育成費用は減る一方、技能習得によって生産性が上昇するため、賃金は右肩上がりになります。

 

逆に言えば、入社後の若手社員に対しては、育成費用がかかるにも関わらず、その社員が生み出す利益は低く、会社にとって投資コストに対するリターンが初めは得られないことから、賃金が低く設定されているのです。

 

また、離職との関係を考える上でもう1つ重要な考え方があります。

 

知識や技能など、生産性を押し上げるものを「人的資本」と呼んでいますが、自社における人的資本が、一般的で汎用性のあるものなのか、または会社特有なものなのかということを考える必要があります。

これは、職種や事業モデル、組織の設計等に大きく依存します。

 

「一般的人的資本」他社でも通用する技能や知識

<例>大学教授、弁護士、投資銀行業務

→転職後も活かしやすい、転職しやすい

 

「企業特殊的人的資本」その企業特有の技能や知識

<例>日本の製造業、法人への融資業務

→転職後に活かしづらい、転職しにくい

(引用:p.169)

 

私の場合は製造業の人事職ですが、人事に関してはどの業界でも同じようなスキル・知識が求められるため、一般的人的資本なのではないかと考えます。

 

以上の内容を踏まえて、定着率を上げるための賃金設定を考えていくことができます。

 

一般的人的資本の定着を図るためには、市場賃金と比較し、同等レベルの賃金よりも低く設定しないように気を付けることです。

 

一般的人的資本による生産性の上昇は、転職して得られる報酬も同等にアップしてくので、もし生産性以下の給料を払っていると、他社に取られてしまいます。

 

一方、企業特殊的人的資本の場合には、会社も従業員もその関係を続けていくことで大きなメリットがあるため、年功賃金などの長期的なインセンティブを活用する方法があります。

賃金以外でも、労働条件や社内で選択できるキャリアの多様化を図るなど、社員が長く働けるような環境づくりも有効です。

 

まずは、自社業務や部門の仕事内容等を分析し、各人的資本が一般的なのか企業特殊的なのか判断した上で、市場賃金との兼ね合いや社員への投資コスト・社員からのリターンも考慮しながら賃金設定をする必要があると思いました。

 

 

ただ、著者の言う離職率が低ければ良いというわけでもない」という言葉には私も納得しました。

 

企業が成長する過程で必要な人材は変化します。戦略や事業モデルを変更する中で求めるスキルも変わっていきます。

そのため、血液循環のようにある一定の社員が入れ替わることは組織を活性化する上で望ましいことでもあるのです。

 

よって、望ましい離職・望ましくない離職を分けて評価する必要があるといわれています。

 

著者の紹介するチェック方法の1つは、過去に辞めた社員の前年の評価平均を退職年ごとに取り、社員全体の評価平均と比べることです。

 

適切な評価がされていることを前提に、もし評価の低い人が辞めているのならばあまり問題視せず、評価の高い人が多く辞めているとわかれば、早急に手を打つ必要があるでしょう。

 

 

 

今回は、女性活躍・社員の定着率向上をテーマとした人事データ活用についてまとめていきました。

 

本書ではそれだけに限らず、働き方改革や採用施策の効果測定方法、中間管理職の貢献度の測定、高齢化に対応した長期的施策の検討など、あらゆるテーマで人事データの活用方法を展開しています。

 

データ活用はもちろんですが、人事課題そのものに関する基礎知識・背景知識も学ぶことができました。

 

今後、人事としてデータ活用に取り組む際にはぜひ読み返したいと思います。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

アディショナルタイム

今回はいつもより長文で、かつ固い内容となったため、途中から眠くなってしまった方がいるのではないかと不安です。。

 

ということで、最後はビックリして目が覚めてしまうくらい大きな牡蠣で締めくくりたいと思います。

 

昨日、築地市場でのお寿司屋さんで頼んだ生ガキです。

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ね、大きいでしょ?

 

 

06_「たった1分で相手をやる気にさせる話術?!」

 

お疲れ様です!

 

今日は第6冊目!

 

前回読んだ本から影響を受けて、人事の仕事は、社員の心に火をつけることなんだとわかり、早速、「やる気」をキーワードにして探したところ、数年前よく耳にした用語が検索に引っかかりました。

 

当時は確か、その用語に関する本をパラパラと立ち読みし、「ふーん」程度で終わっていたような気がします。

 

しかし、今回は目的があるので、しっかりと身に付けるように読み進めました。

 

(本って、その時々の環境や心の状態によって、読み方が変わるの不思議ですよね。)

 

前回は間違えてkindleで購入してしまいましたが、購入後、即読めること・紙より安いことで味を占めた私は、今度はkindleを自ら選んでこちらの本をダウンロードしました。

 

06_「たった1分で相手をやる気にさせる話術 ペップトーク

たった1分で相手をやる気にさせる話術 ペップトーク

たった1分で相手をやる気にさせる話術 ペップトーク

  • 作者:浦上大輔
  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

そうです。よく耳にしたワードは「ペップトークです。

 

「あぁ~。あったね、そんなの。」と思い出す方もいらっしゃるかもしれません。

(私もそのうちの1人です)

 

ペップトークとは、簡単に言えば「励ます技術」のことで、もともとはスポーツなどの試合前に行う激励のコーチング話術として生まれたそうです。

 

今では、ビジネスシーンや日常生活などあらゆる場面で、相手を励ましやる気にさせるため活用されています。

 

著者は運動指導のスペシャリストで、ご本人の経験から言葉の大きな可能性を感じ、今では「日本ペップトーク普及協会」の理事として全国に「ペップトーク」を展開する活動をされているそうです。

 

松岡修造のような、熱血コーチのような、読んでいてちょっと気恥ずかしい場面もあるのですが、感情論ではなく、経験談も活用しながら理論的に説明されているので、非常に実践しやすい内容だと思いました。

 

言葉の魔術師として、相手を励ましやる気にさせるプロになれるよう、これから意識して実践していきたいことをまとめます。

 

 

その1.人のやる気に火が付くメカニズム

 

みなさんは人からどんな言葉をかけられたときにやる気がわきますか?

 

私は最近、「○○さんがいてくれると助かる!」と言われたときに、非常に嬉しくてもっと役に立てるように頑張ろうと思いました。転職してまだあまり仕事を覚えられていない状況下だったため、余計響いたかもしれません。

 

本書では、人のやる気に火がつくメカニズムとして、「自分に価値がある」と感じた時にやる気が湧くと説明しています。

 

また、自分に価値があると感じるときは大きく分けて2種類あります。

 

・承認欲求(人に認められたいという欲求)が満たされたとき

・貢献欲求(人の役に立ちたいという欲求)が満たされたとき

(引用 No.297/1845 ←kindleに出てくるこの数字は何でしょうか・・?)

 

「君ならできる!」「よくやってるね!」「頑張ったね!」といった言葉は承認欲求を満たすことにつながり、やる気になります。

 

一方、私のやる気が出た言葉として先述した「○○さんがいてくれると助かる!」という言葉や、「君のおかげでできた!」といった言葉は、貢献欲求を満たしてやる気にさせます。

 

つまり、この2つの欲求のいずれかまたは両方を満たす言葉がけを意識すればよいということがわかりました!

 

 

ちなみに、一番、貢献欲求を満たす身近な言葉は何だと思いますか?

 

 

 

それは「ありがとう」です。

 

中国では親族に対して「ありがとう」を多用すると、水臭いと思われてしまうのであまり言わないと聞いたことがありますが、やはり「ありがとう」と言われて嫌な気分になる人は少数だと思います。

 

たいていの方は「ありがとう」と言われたら「いえいえ。」と言いつつも、心の中では「良かった」と思いますよね。

 

しかし、日本人はよく「ありがとう」と言える場面でも、「すみません」と言いがちではないですか?

 

コーヒーを出してくれた人に「あ、すみません」

エレベーターを止めてくれた人に「すみません!」

褒めてくれた人に「なんか、すんません」

 

私も「すみません」とつい言ってしまうこともありますが、これからは「ありがとう」と言える場面では「ありがとう」と伝えようと思いました。

 

 

 

その2.やる気のメカニズム「3つのステージ」

 

承認欲求・貢献欲求を満たす言葉を発する際に、下図のような3つのステージを考慮する必要があります。

 

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やる気のメカニズム「3つのステージ」

 

私たちは、自分自身の存在があり、「~したい」という思いがあり、「~する」という行動に移し、「できた・できない」という結果を出していくことを日々繰り返しています。

 

その中で、存在・行動・結果の3つのステージにてそれぞれ評価し、認めてあげることができます。

 

例えば、このような言葉が考えられます。

 

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(例)ステージごとの承認欲求・貢献欲求を満たす言葉

 

 さらにその3つのステージの中でも、「存在」を承認することが一番相手にとって喜ばしく、やる気につながるとされています。

 

なぜなら、たとえ行動や結果がうまくいかなくても、やり直すことができますが、存在はリセットするわけにはいかず、上図のピラミッドの通り、人として最も根底にある大切な部分だからです。

 

人は行動や結果だけを見られて判断されると、根底的な部分でつながっていないという感覚を本能的に感じてしまうそうです。

 

ですから、相手との信頼関係を築くためにも、存在を認めてあげることが非常に重要なのです。

 

最近、私のやる気が出た言葉、「○○さんがいてくれると助かる!」は、この存在ステージを承認され、私はまんまとやる気が出てしまったわけですね。

 

これからは、結果や行動だけでなく、存在も承認するような言葉を加えるよう意識してみようと思います。

 

 

例えば、もし同じチームの後輩が何か良い成果を出したとき、こんな言葉をかけてあげようと想像してみます。

 

 

「○○さん、頑張ったね!こんな良い成果をもたらしたのは、○○さんがこれまで一生懸命準備してくれたからだと思う。○○さんのような前向きに取り組んでくれる人は周りにも良い影響を与えているよ。いつもありがとう☺」

 

 

いかがでしょうか?

あなたがもし後輩だったら、やる気が上がりますか?

(ちょっと照れくさいですかね。。)

 

 

その3.相手をやる気にさせるペップトークの4ステップ

 

やる気になるメカニズムを学んだ後で、いよいよペップトークの話法についてです!

 

ペップトークでは、次の4ステップにならって話を展開することで、相手をたった1分でやる気にさせることができます。

 

 

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ペップトークの4ステップ

 

【ステップ1 】受容(事実の受け入れ)

受容の目的は、相手の感情や置かれている状況をそのまま受け入れ、共感することで相手の心のドアを開くことです。

 

緊張していたら、「緊張しているんだね、わかるよ」

不安になっていたら、「不安になるよね、私もそうなったことあるよ」

心配そうな顔をしていたら、「心配だよね、誰でもそうなるのは当たり前だよ」

と声をかけて、相手の感情を受け止め、共感を付け加えます。

 

そうすることで、続いて「承認」の言葉にも相手は耳を傾けることができます。

 

 

【ステップ2】承認(とらえかた変換)

ステップ2では、ステップ1の受容で受け入れた感情や状況をポジティブにとらえ直していきます。

 

同じ事象でもポジティブに変える方法は2種類あります。

 

①逆転の発想承認

コインの裏表があるように言葉を変換させます。

感情がネガティブな場合は、「~の証拠」で裏返し、状況がうまくいっていない場合は、「~のチャンス」と裏返します。

 

緊張している→「それは、本気で取り組んでいる証拠だよ!」

心配している→「それは、大切にしている証拠だよ!」

問題が起こった→「それは、成長のチャンスだよ!」

時間がない→「それは、シンプル化、効率化ができるチャンスだよ!」

 

このようにポジティブな面にひっくり返すことで、感情を逆転させます。

 

②あるもの承認

「もっと練習すればよかった」「あの人の方が優れている」など、ネガティブな感情になると、パズルの欠けたピースをつい探してしまうものですが、すでにあるピースに目を向けてもらうことが大切です。

 

(足りないピース):練習不足

(すでにあるピース):経験、チームワーク、応援

 

「確かに練習をもっとしたかったという気持ちはわかるけど、私たちには、今までの経験や強固なチームワークがあるし、いつも応援してくれる友達もついてるわ!」

 

と伝えれば、なんだか自信がわいてきますよね。

 

ちょっと話は違うかもしれませんが、前職のとある課長が「あるもので戦う。」とよく口にしていました。笑

これがない、あれがない、と慌てるのではなく、今ここにあるもので何とかするという精神です。

(特に、何か準備できなかったときとか何かが欠けてしまったときなど、あまり望ましくない場面で使われていたのですが・・苦笑)

 

 

ないものに注目するのではなく、あるものに目を向ける。

その方が断然ポジティブで建設的な解決ができますよね。

この考え方は意外と好きでした。

 

【ステップ3】行動(とらえかた変換)

ステップ3では、まさにしてほしい行動を伝えます。

 

その際、注意することが2つあります。

 

①「~するな!」のような否定形にならないよう注意!

 

イメージの世界では、脳は肯定形と否定形を区別できないといいます。

例えば、「ミスするな!」と伝えてしまうと、ミスするイメージをさせてしまうことになります。

 

したがって、「ミスするな」→「落ち着け!」など、ポジティブなイメージがつくような表現に変える必要があります。

 

②結果ではなく、行動の指示を伝える!

結果は自分でコントロールできないものですから、例えば、「ゴールを決めてこい!」「合格してきて!」と言われても正直どうしたらよいのかわからなかったり、逆にプレッシャーを感じさせてしまう場合があります。

 

よって、次のように行動の指示に変換することで、より自分が持っている力を発揮しやすくなるかもしれません。

 

(結果の指示)「ゴールを決めてこい!」

(行動の指示)「自分を信じてコースを狙って思い切り蹴ってこい!」

 

(結果の指示)「合格してきて!」

(行動の指示)「落ち着いて最後まで問題を読みなさい。」

 

このように、結果を出すために有効な具体的行動を提示することが重要です。

 

【ステップ4】激励(背中のひと押し)

最後は背中をポンと押して送り出す言葉を投げかけます。

 

これも2種類あります。

 

①激励系:相手を奮い立たせて気合いが入る言葉

(例)「さぁ、頑張ろう!」「大丈夫、キミならできる!」

 

②見守り系:相手に安心感を与えて勇気が湧くような言葉

(例)「何かあったら助けに行く!」「みんな応援しているよ!」

 

 

これまでの4ステップを通してみるとこんな感じです。

 

「○○さん、今日はいよいよプレゼンだね。緊張するよね、私もいつも緊張するからよくわかるよ。(=受容)でも、それは、○○さんが絶対成功させたいと思ってたくさん準備してきた証拠だよね。(=承認)だから、○○さんの思いをそのまま伝えてくれば良いんだよ。(=行動)何かあればフォローするから大丈夫!終わったら飲みに行こう!(=激励)」

 

 

(こんなこと言えるかっこいい先輩になりたいなぁ・・)

 

 

 

 

本書では、ペップトークの技法について、著者の経験談と理論からわかりやすく説明されています。しかし、やはり読むだけでは身につかず、実践していかなくてはならないと感じました。

 

毎日、誰かを励ます場面があるわけではないですが、いざという時には冷静に本書の内容を思い出してペップトークを展開してみようと思います。

 

 

相手が落ち込んでいるときや緊張しているときなど、なんて声をかけたらよいか悩むという人は本書にヒントがあるかもしれません。

 

より良い人間関係を築くためにもペップトークを学んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

いや、本当に最近暑くなりましたね。

いつの間にか沖縄では梅雨が明けたと報道されており、梅雨に入っていたこと自体知らなくてあっけらかんとしてしまいましたが、関東でも洗濯物が乾かない季節がそろそろきてしまうのでしょうか・・

 

我が家の扇風機は今日からフル稼働です。

 

 

05_「人事やリーダーに求められることとは?」

 

みなさんお疲れ様です!

ついに緊急事態宣言が全国的に解除されましたね!

まだまだ経済活動が復帰したとは言い切れない状況ですが・・

 

先週、宣言が解除され、やっと本屋に行ける!と思い、週1回出社している会社帰りに駅ビルの本屋に寄ってみたら、見事に電気が消灯しており、6月1日から開店するとのこと。

 

さすがにまだ再開していなかったかー。と一度は落胆しましたが、そうだ、AMAZONで購入すればいいんだ!と、帰りの電車の中で意気揚々とスマホを開き、次に読む本を探しました。

 

 

WEB上で「人事 本」と検索し、人事が読むべき本としてランキング上位に出てきた本があったので早速AMAZONで購入ボタンをクリックしました。

 

・・あれ?

 

いつも、発送日が記載されるはずなのに、何も書かれていない・・

 

と思ったら、間違えてkindleの本を購入してしまいました・・!

 

(初歩的なミス!!)

 

私はこれまで本は紙派だったのですが、我が家には幸いiPadもあることだし!と思い、初めてkindleで読んでみることにした記念すべき本がこちらでした。

 

05_「戦略人事のビジョン~制度で縛るな、ストーリーを語れ~」

 

「戦略人事」と聞くと、何か小難しい感じがしませんか?

 

ただ、筆者の伝えたいことは非常にシンプルで自然と腑に落ちる内容でした。

 

確かに、人事担当者が読むべき本であるのは間違えないですが、今現在または今後、リーダーの立場になるような方にも大いに学ぶことができる良書だと感じました。

 

(人事担当者じゃないし、と思う方でも、リーダーシップに関心がある方はぜひ読んでみてください)

 

 

さらに、本書は、八木洋介さん・金井壽宏さんの共著であり、八木さんがJFEやGEに勤務し、人事畑を歩んできた実際のエピソードや、その経験から得られた考え方を語り、その後、主に組織論を研究する経営学者である金井先生が八木さんの話を学問的視点から解説するといった面白い構造になっています。

 

私がこれから人事担当者として成長していくために、本書から影響を受けた内容について、書き留めておこうと思います。

 

 

その1.人事の一番大切なお仕事

 

私は前職のときから人事部門に所属している中で、会社の利益に直接貢献できないことに対し、非常にもどかしさを感じていました。

 

営業はお客様の窓口として売り上げを立てる大切な役割があり、技術者は製品をつくるために欠かせない存在ですが、「人事は何のためにあるのだろう?」「人事の役割とは何だろう?」と常に答えを模索していました。

 

転職活動の際、ある企業の人事担当者にこんな質問をされました。

 

「あなたにとって、人事とは何ですか?」

 

プロジェクトXのエンディングかっ!と突っ込みたくなりましたが、私はそのとき、「思いやりだと思います。」と答えました。

 

社員のためにできることをサポートするという意味で伝えたつもりでした。

 

しかし、結果はお見送り。

理由として、「人事業務への理解が浅い」と書かれていました。

 

その問いかけに対する答えだけで判断されたわけではないと思いますが、人事の存在意義に対する疑問がさらに膨れ上がりました。

 

そこで、まずは、もっと人事への理解を深めようと思い、ブログを開設して自分の考えをまとめていこうとしたわけですが、今回、八木さんの次の言葉には強く惹かれました。

 

「社員の頭の中に霧がかかっていれば、霧を晴らす手伝いをする。社員の心の中で火が消えかかっていれば、火つけ役になる。」

 

素敵な表現ではないでしょうか?

これが、人事の一番大切な仕事だということです。

 

八木さんは1日5~10人、年間にすれば600~700人の社員と面談をし、1人1人の悩みを聞いて、袋小路から抜け出せるような一言を添えて、背中を押してあげていたそうです。

 

03_行動分析学の本に出てきたサカモトさんと同様、私の目指すべき人事はこのような存在だと改めて認識しました。

 

さらに、人事の役割とは、「社員のやる気を上げさせ、最高のパフォーマンスを出せる状態をつくること!」と語られています。

 

八木さんは常に、「それは社員のやる気を上げられるのか?」という基準で経営判断されてきたそうです。

 

なぜ、社員のやる気を上げさせるのかというと、人間ほど生産性が飛躍的に向上するものはなく、人のやる気は企業の競争力につながるからです!

 

例えば、機械の性能を上げるために改良を加えても、生産性が一気に高まることはないが、人間はやる気になるだけで、生産性が5倍10倍にも跳ね上がります。

 

その役割の重要性たるや、私は自信を持つことにしました。

 

 

社員のやる気を上げさせることで、人事でも企業の利益に貢献できるんだ!!と。

 

同時に、企業の利益につながるように、戦略的な人事として業務に当たらなくてはならないと思いました。

 

また、社員のやる気を上げさせるためには、人間に対する理解を深め、「人間のプロ」になること、人の心をわしづかみにする「言葉の魔術師」であることが必要だということです。

 

確かに八木さんの文章は巧妙で、機知に富んだ方だとわかります。

 

私も、人事の役割を果たせるように、これからは、まず人間の理解を深めることと、言葉の勉強をしていこうと思いました。

 

 

その2.リーダーとして「自分の軸」を持つこと

 

その1では、人事関係者以外の方には、「ふーん、」程度に思われてしまうかもしれませんが、本書ではリーダーシップについても触れられていて、私がリーダーシップに関心がある方にも本書を読んでほしいと思った所以があります。

 

なぜリーダーシップの話が出てくるかといえば、人事の重要な仕事の一つに「次世代のリーダー育成」が挙げられるからです。

 

そして、リーダーを育成するためには、まず人事自身がリーダーでなくてはならないのです。

 

 

みなさんはリーダーには何が求められると思いますか?

 

 

金井先生の解説では、元GE会長であるジャック・ウェルチ氏による、4Eリーダーシップ論を紹介しています。

 

4Eとは、リーダーに求められることを、以下の「E」から始まる4つの単語で表している。

 

Energy(自らが活力に満ちあふれていること)

Energize(目標に向かう周りの人々を元気づけること)

Edge(タフな問題に対しても決断ができること)

Excute(言ったことをとことんまで実行していくこと)

 

確かにこれら4Eを体現している人は、リーダーシップがあると言えるかもしれません。

 

ただ、八木さんは、特に、リーダーになるには「自分の軸」を持つことが重要だと考えています。

 

「自分の軸」とは、その人の言動の中核をなす価値観であり、その人がこれだけは譲れないと思うこだわりや、これだけは貫き通したいと思う哲学のことです。

(殊に日本人は周りとの調和を大事にする文化であり、軸が明確にない人が多いと言われています)

 

「自分の軸」がある人は、言動に一貫性があり、物事の判断にブレがなく、自らを突き動かす原動力を持っています。

したがって、リーダーとして周りから信頼を得ることができます。

 

日本GEでは、この「自分の軸」を見つけ出すことを目的としたリーダー育成プログラムもあるそうです。

 

 

みなさんもぜひ考えてみてください。

「自分の軸」とは何でしょう?

 

自分の今までの人生を振り返り、重要な選択をする際になぜそれを選んだのか、また、何に対して腹が立つのかを思い出すことで、「自分の軸」を見つけ出すヒントになるそうです。

(腹が立つのは自分の大切なものや考え方を踏みにじられたことに起因すると考えられるからです)

 

なんだか就活のときみたいですね。

 

私も自分の行動を振り返り、考えてみました。

 

私の軸は「現状満足しない」ということです。

 

 

現状に満足して安定を選ぶのではなく、常により良い状況を目指して努力してきたつもりですし、これからもそうでありたいと思っています。

 

たまに、楽な方の選択をしたくて葛藤するときもあるのですが・・

 

八木さんが仰るには、100回中99回そうだと言えない限りは「自分の軸」とは言えないとのことですので、人事としてのリーダーシップを発揮するためにも、「自分の軸」を守っていこうと思います。

 

 

 

本書では、八木さんの貴重な経験談がふんだんに紹介されています。

人事担当者やリーダーの立場の方は、共感できる部分と刺激を受ける部分が織り交ざり、自分の考え方や言動を改めて見つめ直すきっかけになると思います。

 

タイトルに「戦略人事」と書いてあると小難しそうな内容に聞こえますが、内実はシンプルです。

 

今回の本は、誰にでも当てはまる内容ではないかもしれませんが、私にとっては、人事としての役割を認識することができ、これから何をするべきかについても指南していただいた大事な本になりました。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

(今回は少し短めでした!)

 

 

 

 

アディショナルタイム

明日から、もう6月ですね。(今現在、5/31 深夜1時です)

夏至に向けて日の長さにも感心する今日この頃です。

 

再来週、ついに美容院の予約を入れてしまいました!

最長記録かもしれません、前回から4ヶ月も経っています。

どうせ在宅勤務だからと気にしていなかったのですが、今週から少し出社日数も増えていきます。

 

日常とともに私の髪の毛も元に戻さなければ・・!