22_「エンゲージメント向上のキーポイント・キーパーソンとは?」

 

★★メリークリスマス★★

あああぁー!もう2023年も残り1週間ですね・・

今年は本当に早かった・・(毎年言ってるけど)

そして前回の投稿から半年も経っている・・

 

完全なる言い訳ですが、ここ最近、仕事が充実しており残業もそこそこしていたため、なかなかブログに手が付きませんでした。

あと、家事に奮闘するなかで「日常生活において理科って大事だな」と改めて思い、物理がわかりやすく描かれているマンガなどを読んでいました。

(自動車のセンサーに超音波が使われていて、人間には聞こえない音を出して障害物から跳ね返ってきた時間で障害物との距離が計算されているということを初めて知りました)

 

ただ、今年ラスト1冊は書き上げたい!と思い、久しぶりに愛用のsurfaceを開きました。(筆を執りましたみたいな)

 

先日あるセミナーに参加した際、講師が参考文献にしていた著書があり、読んでみたいなと思って上司に伝えたところ、

上司「これ私持っていますので貸しますよ」と。さすがです。

 

2023年ラストはまたまた上司からお借りしたこちらの1冊です。

(もう何冊借りているだろうか・・)

 

22_「エンゲージメント経営」

 

以前、エンゲージメントについて取り上げましたが、(13_「業績向上のカギはエンゲージメントにあり!」)今回はより深堀りしていきたいと思います。

 

著者はコーン・フェリー(アメリカの人事コンサル会社)の柴田彰さん。

本書では世界規模で実施されるコーン・フェリーのあらゆるサーベイ結果やインタビュー内容をもとにご自身の見解が記されています。

 

将来的には日本全体のエンゲージメントを高めたいと標榜する私にとって、「やっぱりそうだよね」と自身の考えを裏付けできる内容が詰まっていました。

 

これこそエンゲージメントの本質じゃないか?と思わされたポイントと、エンゲージメントを高めるためのキーポイント。これらをまとめて、2023年を締めくくりたいと思います。

 

待ってろ、2024ーーー!!!

 

(?)

 

その1.日本のエンゲージメントが低い理由

 

日本は世界と比べてエンゲージメントが低い!ということは以前取り上げましたが、

なぜ低いのでしょうか?

 

私は1つの理由として、そもそも日本人の国民性が調査に反映されているような気がしています。

[3:よい、2:どちらともいえない、1:悪い]という選択肢があれば、真ん中の2を選びやすい曖昧な国民性なのではないかと。

あと私のもう1つの疑念としては、会社の規模によってエンゲージメントの高低に差があるのではないかと。

全企業のうち中小企業が99%を占める日本においては、どんなに1%の大企業が頑張ってもなかなか数値として表れないかもしれません。

以前、元ゴールドマンサックスアナリストで現在は小西美術工藝社社長(お寺の修復工事業者)を務めるデービッド・アトキンソン氏が「中小企業改革」の重要性を訴える記事を読み、私にとって新たな視点だったことを覚えています。

 

あらゆる背景があると思いますが、一概に、日本の総力が低いということではないのではないかと。(そう信じたい)

いつか日本のエンゲージメント数値のからくりを調べてみたいと思っています。

 

それはさておき。

 

著者は次のように考察されています。

かつての経済環境には適していた共同体的な組織運営と、現在の若年~中堅層の働くことに対する価値基準のズレにこそ、日本の社員エンゲージメントが低い原因の本質がある(本書 P35引用)

 

確かに、終身雇用を前提とした長期視点の育成や帰属意識を重視した風土(本書の言葉を借りれば「ムラ社会」)は現代の価値観とは大きなギャップが生じます。

不景気で見通しのつかない不確実な現代においては、一度入社した会社に入ったからといって安心できることはなく、職業人としての価値を高めようと努力し、自己成長を重要視しています。

 

企業はその時代その時代に生きる社会人の価値観にマッチする環境を絶えずつくっていくことが重要ということですね!

本書は2018年に発行されていますので、その後のコロナ禍を経て、また働く人の価値観が変わっているかもしれません。

 

その2.エンゲージメントの本質

 

で?具体的に何をどうすればエンゲージメントが向上するっていうのよ?

(ちょっと強気なお姉さん風)

ということで、

 

ここで登場するのが、コーン・フェリーのサーベイ結果です。

 

社員エンゲージメントと相関が高いドライバー(本書P48図表13を参考に作成)


上記表では、日本の会社において、社員エンゲージメントの高低と相関のあるドライバー8項目が高い順に並べられています。

 

これは私も予想外でしたが、なんと1位は「顧客に提供する体験的価値への自信」なんですね!

 

体験的価値とは英語でいうと、Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンス)のことで、自社の製品やサービスを通じて顧客が体験することができる感覚的、情緒的な価値のことである。(本書P49引用)

 

つまり、顧客に対して感動や満足感を持ってもらえる製品やサービスを提供できているという自負心がエンゲージメントを高めるのです。

 

そして同じく意外性でいえば、7位の「自社の戦略と目標に対する信頼感」

 

これは「自社の戦略が信じられるか?」と聞いているわけだから、戦略の合理性や正しさではなく、琴線に触れる戦略かどうかという主観的な情緒の問題だと解説されており、大変納得しました。

 

この結果を見て、「顧客への提供価値」「自社の戦略に対する信頼感」いずれにしても、やはり、人は「世の中のため、誰かのために役立っている」という自覚を持つことが最もモチベーションになるのではないかと思いました。

これこそ、人間の本質であり、エンゲージメントの本質であると考えます。

 

エンゲージメントの高い総合商社において、社員は「国(日本)の発展に貢献している」という自負心を持ち、「日本の基幹産業の商流を支える」といったメッセージが経営陣から繰り返し発信され、実際にそう感じている社員が多いそうです。

 

エンゲージメントは会社と社員の絆ともいえますが、

その絆を結びつけるのが、会社の製品・サービスであり、ビジョンである

といえるのではないでしょうか。

 

人事としては、いかに自社の存在意義を社員に感じさせることができるか、ということに腐心していくべきですよね。

結局は、一人一人の承認欲求を満たしていくことが重要なのだと思います。

 

 

(ちなみに、「自分のニーズに即した福利厚生の充実」がエンゲージメントと最も相関が低い項目だったみたいです。そこにこだわりすぎるのは筋違いですね。)

 

 

その3.エンゲージメントを高めるためのキーパーソン

 

前述のように、エンゲージメントを高めていくためには、会社のビジョンや存在意義を社員に伝えていくことが肝心ですが、そう一筋縄にはいきませんよね・・

 

みなさんは自社のビジョンが何なのかわかりますか?

それはあなたにとって共鳴できるものですか?

 

どちらもYES!という方は少ないのではないでしょうか・・?

 

全社ミーティングやイントラネットなどを通して伝達される経営からのメッセージを、社員がみんな同じレベルで同じ内容として受け止めるということはありません。

 

そこでキーパーソンとなるのが、ミドルマネージャー、いわゆる中間管理職です。

 

中間管理職が間に立って経営からのメッセージを咀嚼し、個々の社員の心に届くよう努力する義務がある。社員の知識や理解が不足していれば補強し、一人ひとりの思考様式に沿った形で情報を伝達しなければならない。それなくしては、どんなに経営が向かうべき道を示して社員を動機付けようと試みても、叶わぬ夢になってしまう。(本書P132引用)

 

これはかなりハードルが高いかと思いますが、実際に中間管理職が部下のエンゲージメントに与える影響は大きく、著者はコーン・フェリーのサーベイから特に次の4つの項目が重要だと分析しました。

 

中間管理職に関係する項目の4類型(本書P139 図表21 を参考に作成)

 

上記4つの項目について上手く対応している上司のもとで働く部下はエンゲージメントが高い傾向にあるということですね。

 

改めてみてみると、

 

おや・・・

 

すべてこちらのブログで取り扱ってきた内容ばかりではありませんか!

エネルのイラスト(ONE PIECE)

(いらすとやがONE PIECEとコラボしてた!!)

 

①組織のビジョン共有→今回

②キャリア開発

15_「今こそ自分のキャリアに向き合ってみませんか?」 - odmik’s diary

③フィードバック

14_「マネージャーにはデータを持って戦わせよ!」 - odmik’s diary

④情緒的なケア=EQ(感情マネジメント)

12_「リーダーたるもの己の感情を理解すべし!」 - odmik’s diary

 

やはり人事の取り組みは点ではなく線でつながっているのですね。

あらゆる人事施策の総合評価がエンゲージメントといえるかもしれません。

 

 

本書はこのあと、社員のエンゲージメントを高めるためにはやはり中間管理職のリーダーシップが必要不可欠ということで、リーダーシップ論にまで話を展開させています。

 

本書1冊読むだけで、エンゲージメントだけでなく、モチベーション論やリーダーシップ論、キャリア開発に関する内容など、幅広く周辺知識を学ぶことができます。

もちろん経営陣や人事にとっても役立つ良書ですが、今回は特にミドルマネージャーの方々に読んでいただけると、部下のエンゲージメント向上のために有益な情報が得られると思います。

 

まずは目の前の社員を幸せにすることで、巡り巡って、働くことに喜びを感じるビジネスパーソンが増えていくことを願っています。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

~ア

(色合いがクリスマスバージョン)

 

今年はいろんな新しいことにチャレンジしました。

メルカリ、株式投資、X(旧Twitter)の人事の集まりに参加してみる・・

その中でも今後ずっと続けていきたい趣味を見つけました!

フラワーアレンジメントです🌸

 

↑手作りのクリスマスリースです♬

リースの輪は始まりも終わりもない、永遠の愛を表しているそうです。

 

来年も皆様にとって充実した幸せな日々が過ごせますように・・!