19_「オンボーディングで新入社員にスムーズな船出を!」

皆さん!春が来ました!

新学期、新年度、新しい生活が始まりましたね~!

今年の花粉はひどかったですが、やっと落ち着いてきました・・

 

それにしても、この時期、風物詩になっている新卒社員の真っ黒コーデ。笑

黒いスーツ、黒いカバン、黒い髪の毛。一発で新卒社員だってわかりますよね。

これは私が新卒の時から変わっていませんが、日本人の価値観が変わらない限りはこの格好がずっと続くんでしょうかね~

 

さて、今年に入って2冊目となりますが、今回は珍しく目的ありきの購読です!

(大半はなんとなく気になった本を読むことが多い)

エンゲージメント施策の一環として、当社では新しく入社した社員に対し、入社後の状況を把握してフォローしていこう!ということになりました。

ならば!基礎知識を学ぼうじゃないかということで、こちらの本を購入しました。

 

19_「組織になじませる力」

 

みなさんは今の会社に入社したとき、スムーズになじむことができましたか?

 

私は3年前に転職したのですが、職場や仕事に慣れるまで3ヶ月くらいかかりました。

前職は、ザ・昭和の日本メーカーという感じで、明るく挨拶しながら和気あいあいとした雰囲気でしたが、現職は外資メーカーであり、最初は職場の静けさにびっくりしました。1人1人が黙々と仕事を進めていて、話すときはコソコソと・・

でもこれはこれで、住めば都。慣れればとても集中できて良い職場です。

 

ただ、人によっては、

「全然話せる人がいない・・これは誰に聞けばよいんだろう?」

「なんか入社前に聞いていた話と違うな・・」

「前職ではうまくいっていたのに、ここではうまくいかない・・」

といったように、なかなかなじめず、早々に退職を考えてしまうケースもあるのではないでしょうか?

 

そこで!!今注目されているのが、

「オンボーディング」です。

 

オンボーディング(On-boarding)とは・・

「もともと、オンボーディングは船や飛行機に乗っているという意味です。新卒採用者や中途採用者など、会社という乗り物に新しく加わった個人を同じ乗組員としてなじませ、一人前にしていくプロセス」を指しています。

(本書 P25引用)

 

RMS Message「変わるオンボーディング(2021.8)」より、とっても素敵な絵だと思って載せてしまいました・・まさにこんなイメージですよね✨ジグソーパズルにしてほしい笑)

https://www.recruit-ms.co.jp/research/journal/pdf/j202108/m63_all.pdf

 

 

また、クレイン&ポリン(2012)は、オンボーディングを「新入社員の適応を促進する組織やエージェントによって従事される、公式、非公式な訓練、プログラム、政策」と定義しています。

 

本書では、このオンボーディング(組織になじませる力)を研究された甲南大学の尾形教授によって、その概要がわかりやすくまとめられています。

 

そして私が驚いたのは、約10年前にオンボーディングの論文を発表したクレイン&ポリンさんのお二人はオハイオ州立大学の教授であり、アメリカにおいてもオンボーディングの重要性を認識しているということ!

 

私の勝手な偏見ですが、アメリカでは去る者は追わず・・といった流動的な転職社会をイメージしていて、社員に定着してもらうための施策はあまり検討されていないものと思っていました・・

 

しかし、やはりこのVUCAの世の中、欲しい人材を採用するのは難しく、せっかく迎え入れた社員がすぐに辞められることは会社にとってかなりの損害ですから、アメリカにおいても取り組むべき内容としてオンボーディングが認知されているのですかね~

 

これまでも、社員の定着施策(リテンション)はあらゆる観点から研究されていましたが、とりわけ新入社員に対してスムーズな組織への適応を促すオンボーディングは少し新しい概念であり、今回は全体像を捉える良い機会になりました!

 

それでは皆様、オンボーディングを学ぶ旅へ、

Bon Voyage(ボンボヤージュ)!!

 

その1.オンボーディングを捉えるフレームワーク

 

オンボーディングの意味はもう上述した通りですが、では具体的に何をやったらよいのでしょうか?

 

施策を考えるにあたって非常に有効なフレームワークがありまして、オンボーディングを次の3つの機能に分けて整理されています。

(以下、本書P26-29参照 クレイン&ヒューザー

 

********************

1)情報を与えるインフォーム(Inform)行動

新入社員に情報や道具、円滑に活動していく方法を学べる経験を提供する

①コミュニケーション

・パンフレット等で情報を伝える

・人事部員や同僚、上司とのコミュニケーションの機会をつくる

②リソースの提供

・新入社員のために作られたウェブサイトを教える

・会社全体で使われている略語などの用語集を与える

③トレーニングプログラム

・スキルや知識の習得を促進するためのプログラム

オリエンテーション/会社の施設見学/OJTなど

 

2)ウェルカム(Welcome)行動

新入社員を歓迎し、同僚と顔合わせできる機会を提供する

・社長からのウェルカムメッセージ

・歓迎会を開く

・新入社員の入社を全社にアナウンスする

 

3)ガイド(Guide)行動

新入社員をサポートする指南役を割り当てる(いわゆるメンター)

********************

 

いかがでしょうか?自社でも実現できそうだと思いませんか?

オンボーディングは円滑な組織への適応を促すことで新入社員がいち早くパフォーマンスを発揮できるようにするという目的ですが、上記内容に取り組むことで、社員のエンゲージメントを高めることにもつながると思います。

エンゲージメント向上のためには、単にお金を注ぎ込むのではなく、工夫次第、気持ち次第で1人1人の心を掴むことができるのではないかと考えています。

お金で結ばれる関係は脆いため、心と心の信頼関係を結べるような会社でありたいですね。

 

私も早速このフレームワークに沿って、新入社員用イントラページの作成を上司に提案しました。

各事業部の業務内容や、管理スタッフ部門の担当一覧などを載せたら、会社の仕組みに対する理解の一助になるかな~なんて思っています。

 

 

その2.リアリティ・ショックに打ち勝て!

 

特に新卒社員が入社後に直面する適応課題・・それが、リアリティ・ショック(Reality shock)です。

各学者がそれぞれ定義されていますが、キャリア研究で著名なシャインは「個人が仕事に就く際の期待・現実感のギャップに由来するもの」と表現し、これが解決されないと、早期離職やモチベーションの低下などネガティブな反応を引き起こすとされています。

組織としてはフォローすべき課題であり、新卒に限らず、中途採用者においても、入社前の期待と現実のギャップに苦しむことが少なからずあるのではないでしょうか。

 

一見、リアリティ・ショックは害であり、ギャップをいかに無くすかという思考に走ってしまうかと思いますが、実は、これをうまく対処することで、ポジティブな成果につながるといわれています。

 

この考え方は私にとって新たな発見でした。

私は大学のゼミでリアリティ・ショックの概念は学習しており、当時からネガティブな印象を持っていたのですが、まさかポジティブな面もあったなんて!

(見直したぜ、リアリティ・ショックさんよ・・)

 

どんなポジティブ効果があるのかといえば、次の4つが挙げられています。

 

本書P60 表2-7 リアリティ・ショックのポジティブ効果


もちろんリアリティ・ショックは組織適応を阻害し、離職などのネガティブ反応を引き起こす側面があることは事実ですが、それを乗り越える過程で社員の成長につながるという点も理解しておく必要があるのですね。

 

会社としては、採用段階では応募者と正直に真摯に向き合い、できる限り必要のないギャップを埋めるように尽くす。そのうえで生じたリアリティ・ショックに関しては、本人が乗り越えられるようにフォローしていくことが重要だと感じました!

 

 

その3.プロアクティブ行動で組織になじめ!

 

オンボーディングは基本的に企業目線の施策として捉えられますが、新入社員自身が積極的な行動を取ることで、よりスムーズに組織適応が進められます。

 

プロアクティブ行動とは、「個人が自分自身や環境に影響を及ぼすような、先見的な行動であり、未来志向で変革思考の行動」と定義されています。

(本書P161引用 グラント&アッシュフォード)

 

では具体的な行動は?というと、本書にてまた図表化されていますので、編集して掲載させていただきます。

プロアクティブ行動と内容(本書P161-182を参照し編集)

(ジョブ・クラフティングについては、こちらをご参考ください↓↓)

13_「業績向上のカギはエンゲージメントにあり!」 - odmik’s diary

 

RMS Message「変わるオンボーディング」(2021.8)の調査においても、プロアクティブ行動は入社1・2年目の社員にとって、職務適応・職場適応に大きな影響をもたらしていることがわかります。

 

職務適応・職場適応に影響を及ぼす変数(RMS Massage「変わるオンボーディング」P32図表10)

 

会社は「組織になじませる力」を、個人はプロアクティブ行動によって「組織になじむ力」を、お互いに向上させていければ、よりオンボーディングが効果的に進められるということは明らかです。

 

会社の働きかけ、個人の頑張り、そして、忘れてはならないのは、職場すなわち上司の育成です!!

上司が新入社員を定着させ成長させることができれば、それが一番の近道でしょう!

人事としては、上司に対するトレーニングも含めてオンボーディング施策を検討していく必要がありますね。

 

 

本書では、インタビュー内容や具体例も多く、非常に読みやすいため、オンボーディングの教科書として活用できる一冊だと思います。

テレワークが普及した現代において、組織になじむことがより難しくなってきており、ますます会社・職場(上司)・個人がそれぞれ積極的に取り組むことが求められています。

 

当社はただでさえ中途社員のみで構成され、関係が希薄な会社だと感じているので、より一体感のある会社にするためにも、本書を参考にしながら「組織になじませる力」を高めていきたいと考えています。

 

 

今日もありがとうございました!!

 

 

アディショナルタイム

ちょっと前になりますが、WBC盛り上がりましたね~!!

そのときの熱のまま、毎日Youtubeで大谷選手を追いかけていますが、いつも逆転負けの「なおエ」。笑

(この表現、上手いですよね。だれが考えたんだろう・・?)

あと最近、ブルーロック(サッカーのアニメ)もハマっていましたが、1シーズンが終わってしまい、潔ロスです。

やっぱりスポーツは楽しい!と感じる今日この頃です^^