14_「マネージャーにはデータを持って戦わせよ!」

こんにちはー!

もう春ですね!今週は西の方から続々と桜の満開宣言が発出されています。

春は花粉と、強風と、1日の気温差が激しいため何を着たらよいのかわからない、というのが難点ですが、なんだか気持ちはワクワクする季節ですよね。

 

もうすぐこのブログを開始してから2年が経ちます。

当初想定していたよりもスロースピードではありますが、着実に積み上げていきたいですね。

安田財閥の祖である安田善次郎も、豊臣秀吉のように、階段を跳び越すことなく、一歩一歩着実に進んでいくことで最終的に事を成すといった意を示しています)

 

 

さて、今年3冊目はまたまた教育業者からいただいた本です。

特にセミナーなどに参加したわけではないのですが、営業担当の方のご厚意で送っていただきました。(ありがとうございます!!)

 

今まさに数多くの企業で躍起になって取り組んでいるデータ活用。

特に人事では、あらゆるサーベイを実施していますよね。

従業員満足サーベイ、エンゲージメントサーベイ、360度サーベイ、パルスサーベイ・・

もはやデータ無しには語れない現代に、まさに求められている内容と思います。

 

組織開発といえばこの先生。立教大の中原淳教授によって編まれた著書です。

 

14_「サーベイ・フィードバック入門」

 

人事以外の方は、おそらくサーベイを受ける側だと思いますが、どのように感じていますか?

 

先日、高校以来通っている美容院でいつもカットしてくださる方が、こんなことを話していました。

「最近、会社からのアンケートが増えたのよね。アンケートアンケートうるさいなぁって。こっちはお客様優先だから、そんなすぐに返せないんだよね~。」

 

これが多くの方の本音ではないでしょうか。

 

もちろん誠意をもって回答してくださる方もいますが、目の前の業務で忙しい中、回答した結果がどうなるかわからないようなサーベイを受けるのは、多くの人にとって煩わしいものになりかねないと思います。

頻繁に実施されるなら殊更です。

 

このサーベイが、組織にとって利益をもたらすものへと転ずるために、必要なプロセスとなるのが、本書のタイトル「サーベイ・フィードバック」です。

 

サーベイ・フィードバック」とは、

サーベイ(組織調査)で得られた「データ」を適切に現場に届け(フィードバックし)、現場の変化・職場の改善を導く技術のことです。

(本書P7引用)

 

人事としてサーベイに取り組む方は必ず習得しておくべき内容であり、かつ、サーベイ・フィードバックを行う主語は現場のマネージャーです。

 

確かに、人事は現場の変革をサポートすることはできても、現場のメンバーまでマネジメントすることはできません。

 

サーベイを企画する立場の方、

サーベイ結果を受けて現場メンバーにフィードバックする立場の方、

一緒にノウハウを学んでいきましょう!

 

 

その1.効果的なサーベイ・フィードバックのプロセス

 

サーベイ・フィードバックは下記図の通り、3つのステップを踏みます。

 

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本書P28 図1-2 サーベイ・フィードバックの概念図 引用

 

見える化

見える化」は実際にサーベイを実施し、組織の状態を可視化するフェーズです。

このフェーズでは、どんなサーベイを選ぶのか、いかにデータの質を高め、どのようにより多くのメンバーから真剣な回答を得るか、などのポイントがあります。

しかし、サーベイを実施しただけで満足していては、現場の変化にはつながりません。

次のフェーズが重要です。

 

②ガチ対話

「ガチ対話」では、「見える化」によって示された組織課題に対し、メンバーそれぞれが向き合い、その解決を目指して話し合うフェーズです。

 

私がなるほど!と腹落ちしたのが、インプットとアウトプットの間にあるスループット(throughput)」の概念です。

 

スループットとは、「人々の解釈・意味付け・それに基づく行動」を指します。

 

つまり、サーベイ結果のデータをメンバーに提示(インプット)したからといって、すぐに組織が変わる(アウトプット)わけではなく、その間に、現場のメンバーがそのデータを見て考えた解釈(スループット)の段階が必要ということです。

図で表すと下記のとおりです。

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本書P55 図1-13「データだけでは組織は変わらない」を参考に編集

 

データを見ただけでは、「へぇ~、そうなんだ」というだけで終わってしまう可能性がありますが、メンバーそれぞれが自分ごととして捉えて、「このデータはこういうことを表しているね」「これは問題だね」などと解釈をして、初めて変革につながります。

 

このスループット、日々の生活に関しても同様に重要だと感じました。

例えば、データといえば、ここ2年の間、毎日のようにニュースで見かけるコロナ感染者数の数値。

単に「本日の東京の感染者数は2000人でした」と聞き、「へぇ~」だけで終わってしまっては何も動きませんが、「そうか。先週よりも増えてきたからより一層注意しないといけないな」と解釈すれば、食事会を延期したり、在宅勤務に変更したり、と行動に移せますよね。

 

つい見落としがちなスループットですが、サーベイ結果を現場の変革につなげるための重要なフェーズとなります。

 

③未来づくり

最後のフェーズ「未来づくり」では、データの解釈を踏まえたうえで、今後自分たちの職場では何を目指していくのか話し合い、アクションプランを作成します。

よく研修の最後にも登場するアクションプラン。

これは書いて満足してしまうことが多々あるのですが、作成後のフォローが重要だとつくづく感じます。

定期ミーティングのたびにリマインドしたり、日々の職場の中でお互いに声をかけあうなど、理想の職場に向けた行動の継続が成功の秘訣だと思います。

そのためには、やはり全員が納得するような未来づくりが必須ですね。

 

 

以上、3つのプロセスを確実に進めていくことで、現場の人々もサーベイを前向きに受けていただけるようになり、職場も改善していく、という好循環を目指せるはずです!

 

じゃあそれぞれ具体的にどうやって進めればよいの?と思われた方は、本書をぜひご参考くださいませ。

 

 

その2.組織変革の各種理論

 

本書では、サーベイ・フィードバックが組織変革につながるために、いくつかの理論が紹介されています。サーベイ・フィードバックに限らず応用できる知識と思いますので、記録させてください!

 

①コレクション効果

データの秘める意外な効果。

これは本書でも盲点と表現されていますが、確かにそうだなと私も首肯しました。

 

どういう効果かというと、サーベイによって職場・集団に「質問」を投げかけ、データを集めるという行為自体が、「人々が行動を変えるためのエナジー」を内包しているということです。

・・・デービッド・A・ナドラー

(本書P79引用)

 

例えば、「あなたは会社のビジョンを理解していますか?」という設問があれば、会社からは「当社のビジョンを理解してほしい」というメッセージを暗に伝えることができ、サーベイを受けた社員は「あれ、どんなビジョンだっけ?後で上司に確認してみよう。」などと、自ら振り返ることをするかもしれません。

 

要するに、人々に提示された質問項目自体が「その組織において、何が望ましい行動で、何が望ましくない行動なのか」を潜在的に示す機能がありそれにまつわるデータを集める(コレクションすること)で、社員に対して「あるメッセージ」を伝え、「人々の行動を変える原動力」になりうるということです。

 

サーベイを作成する際は、会社にとって望ましい状態を意識して設問を選択する必要がありますね。

 

現状維持バイアス・リンゲルマン効果

何か変えようとすると、「今のままがよいではないか」「なんでそんなことするのか」と変化を嫌い、現状維持を死守する人たち。

彼らは「何かを変化させることによって得られるメリット」よりも「現状を維持することによるメリット」を高く見積もってしまうバイアスに囚われています。

これはどんな組織でも必ず発生する厄介な敵ではないでしょうか。

 

この人たちにはどんなに積極的にアプローチしても、暖簾に腕押しとなるケースがほとんどです。

 

さらに悪いことに、集団の人数が増えれば増えるほどメンバー1人あたりが供出する努力量が減っていくという「リンゲルマン効果」があります。(ドイツの心理学者、リンゲルマンの名前を取ってそう呼ばれる)

(本書P48-49引用)

 

リンゲルマンの綱引き実験が面白いので紹介します。

(文字ばかりだと飽きてくるので・・)

 

1人で綱引きした場合の力を100%とすると、2人では93%、3人では85%と1人あたりの努力量は徐々に減っていき、8人の場合はどのくらいになると思いますか?

 

 

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8人で綱引きしたら1人あたりの努力量はどうなる?

 

 

 

 

 

正解は「49%」です!!

なんと本来の力より半分も手抜きしてしまうのです!

 

このような現状維持バイアス、社会的手抜きなどの反発勢力に打ち勝つためにはどうしたらよいのか?

 

そこで武器の1つとなるのが、データなのです!

 

組織の現状を可視化した客観的なデータを用いて、「変化することの必要性」を示すことが、風穴を開ける一手になるかもしれません。

 

私も前職で新しいグローバル人材教育を提案したところ、現場のマネージャーから「こんなの辞めようよ、無駄だから」と言われたことが、今でも強く心に残っています。

 

やはりどんなにこちらが必要だと思っても、現場の人には受け入れられないケースがありますが、客観的なデータを示せたら少しは変わったのかな、と今では思います。

 

 

日々、自部門のマネジメントに四苦八苦しているマネージャーの皆様。

何の武器もなしにメンバーと対峙していませんか?

サーベイ結果の客観的なデータを武器にして職場を変えていきましょう!

 

 

 

 

本書では柔らかい字体を使って、図や絵を駆使しながらわかりやすく表現されています。終盤にある企業の実践事例も参考になりました。

 

研修も同様、サーベイもやりっぱなしにならないように、組織変革につながる手立てを講じていきたいと思います。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

まだまだ勉強不足で表面的なものの見方しかできていないと感じます・・・

そんな自分が悔しいです。。。

でも私らしく、地道にコツコツ努力していきたいです!

頑張るぞ~!!