17_「現代に求められる組織づくりの核心!」

うわー!時間がだいぶ空いてしまいました・・

 

お久しぶりです。

つい最近まで今日は暑いなぁとか言っていた気がするのですが、気付けば紅葉が美しい季節に早変わり・・

もうそろそろ忘年会の予定を組み始め、今年もあっという間に終わってしまいそうですね。

あと年内にもう1冊の投稿ができればいいなぁ。

 

 

4ヶ月ぶりの第17冊目は、本屋でうろちょろ「何か人事の面白い本はないかな~」とパラパラ読み漁っていたところ、優しい字体と癒される絵に魅力を感じて、これにしよう!と決めました。

 

見てください、この可愛らしい絵を。

 

本書P29図

 

しかも、本書に記載されている図表が無料でダウンロードできるように公開されているのですね。

https://dakaboku.jp/

 

もう絶対、筆者は優しい人だ!!と確信しました。笑

 

とっかかりは完全に見た目だったのですが、読み進めてみると、

「あぁ、そうそう。」「なるほど、これは知らなかった!」

と、私にとっては「これまでの復習」と「新たな知識の習得」が交互にやってくるような、充実した本でした。

 

字体や絵だけでなく、なんと本自体の形にもこだわっている!こちらの本をまとめていきたいと思います。

(本の形は文章では表現しにくいので、ぜひ本屋で手に取って確認してみてください)

 

17_「だから僕たちは、組織を変えていける~やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた~」

 

ほら、サブタイトル「やさしいチーム」のつくりかた、ですよ!

絶対、優しい人が書いたに違いない。(しつこい笑)

 

そんな本書の筆者は斎藤徹先生。

日本IBMを退職後、ICT技術を活かしてベンチャー創業。現在は組織論や起業論を専門として、学習院大学の教授やビジネスブレイクスルー大学の教授も務められています。

学生からは「とんとん」と呼ばれているそうです。(か、かわいい・・・!)

 

なんだか、とんとん先生のプロフィールを読んで、人格が本の見た目や内容にも表れているのではないかと勝手ながら感じました。

 

 

さて、本書はまず社会の流れとパラダイムシフトから話が始まります。

 

その1.3つのパラダイムシフトと人間の価値

 

私たち人類がもたらしたイノベーションは農業革命→産業革命→情報革命と進化を遂げ、テクノロジーの発展により、次の3つのパラダイムシフトが起こります。

 

①デジタルシフト

1995年インターネットの登場により、ビジネス環境は大きく変化しました。

誰でもアイディア次第で起業ができたり、店舗がなくてもオンライン上で商品を販売することができたり。

世界との距離もぐっと近付き、私たちの視野はグローバルに広がっていきました。

 

②ソーシャルシフト

インターネット普及後は、FacebookTwitterなどのSNSYoutube食べログなどに代表されるソーシャルメディアが私たち人々の関係性に大きな影響をもたらしました。

人とのつながりが広がっていく中で、個人の発信力が強くなり、各企業は真正面から顧客や社員と向き合う必要性に迫られています。人から反感を買うような企業は衰退し、逆に共感をもらえる企業にとっては追い風となりました。

 

ライフシフト

そして2020年以降の新型コロナウィルスによるパンデミック。いまだ第8波に注意と毎日ニュースで促されています。

会いたい人と会えなかったり、行きたいところに行けなかったりする中で「自分にとって大事なものは何か?」と、多くの人が自分の生き方について考える時間が与えられたのではないでしょうか。

ビジネス上ではテレワークが急速に広がったことにより、多様な働き方が選べるようになりました。

(私も初めての在宅勤務の前日は、ワクワクしながらパソコンを自宅に持ち帰った記憶があります)

 

そして本書では、上記のような3つのシフトの中で求められる組織像について、どのように目指していくのか、各テーマごとにヒントが展開されていく構成になっています。

 

本題に入る前に、前提となる大事なポイントを抑えたいのですが・・

 

 

現代において、人間に求められる価値とは何でしょうか?

 

 

時代の流れを振り返ると、人の手や足を使って作業していたことが機械やロボットに置き換わり、人間の記憶や計算能力はコンピュータが代替するようになりました。

「10~20年後には、日本の労働人口の約49%がAIやロボットで代替可能」との恐ろしい研究結果も発表されています。(野村総研、2015年)

 

でもだからといって、人間が介在せず世の中が回ることはあり得ないですよね。

今後、組織は次のことを再認識して取り組んでいく必要があろうと強く思います。

 

「今、人間に残された価値は暗黙知であり「感性」であり「意志」である。「見えないもの」を深く理解できないと、人の心は動かない。組織は機能しない。今こそ、マネジメントは人間性に回帰すべきなのだ。」

(本書P47抜粋)

 

そうです!人間には「心」があるのです。

100年近く前のホーソン実験で解明されたように、人間を科学的に管理していくことには限界があり、もはや人の「心」を無視して物事を進めていくことはできないと思います。

 

機械やコンピュータには代替できない、人の「心」をいかに理解していくか。

ここに、人間の未来が託されている気がします。

 

 

・・と、かっこよく決まったところで(?)、

人間性を活かすマネジメント、一緒に学んでいきましょう!

 

 

その2.「学習する組織」を実現させるためには?

 

新しいパラダイムシフトの中で求められる組織像の1つは「学習する組織」です。

どんな組織かというと、本書では四コマでわかりやすく説明されていますので、ありがたく使わせていただきますね。

本書P53「学習する組織」

 

このように、危機こそが学習と成長のチャンスと捉え、「顧客の幸せを追求し、常に新しい価値を生み出す」組織ですね。

 

「学習する組織」の概念は1990年にピーター・センゲ氏が書いた著書により広まりました。センゲ氏は、環境変化が激しくなっていく中で、管理する組織ではなく、学習する組織へのシフトを促しました。そして、これを実現するためには、「ダイアローグ(対話)」が重要と唱えました。

 

ダイアローグは、ディスカッション(議論)と違って、結論を急ぐのではなく、それぞれが考えたことを場に出し、相互理解を深めるプロセスです。

この重要性を示唆した大規模な実験が「プロジェクト・アリストテレス」(2012)と呼ばれるグーグルの生産性改革プロジェクトであり、ある概念がビジネス界で一気に注目される発端になったのです!

 

 

それが、心理的安全性」です。

 

皆さんも一度は聞いたことがあるはず。

 

 

グーグルは4年にわたり「高い成果を生むチーム」が持つ成功因子は何なのか検証した結果、心理的安全性がチームの生産性を高める」と結論づけました。

 

心理的安全性とは、チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」とされており、個人能力の総和が同程度のチーム同士であっても、これがあるかないかでチームの生産性に大きな差が発生したということです。

 

これは実体験からも納得できます。

例えば、皆さんが上司や同僚に何を言っても受け入れてくれなかったり、反論されたりするとしたら、せっかく良いアイディアが思いついたとしても、何も言わなくなりませんか?

この状態では、ダイアローグが進まず、イノベーションが起こりえませんよね。

 

心理的安全性」はもともと1999年に経営学者エイミー・エドモンドソンが発表した概念ですが、人間の役割が人間たるものに回帰している今現代、より重要性が増したキーワードであると感じました。

 

では、心理的安全性を高めるためにはどうしたらよいでしょうか?

 

 

その3.ホールネスを実現し、心理的安全性の場をつくる

 

心理的安全性を構築するうえで最も基本となるのは、自然体な自分を取り戻すことです。

これをホールネスと呼びます。

つまり、ありのまま自分をさらけ出すことを意味します。

Let it go~♬ですね。

 

人間は、生を受けてから死を迎えるまで「内的なものを優先するのか、外的なものを優先するのか」を調整しながら成長する生き物である。

(本書P102引用)

 

内的なものは自分の生身の感覚、感情、欲求、衝動など。外的なものとは、自分以外のものからの要請や期待、言語化されない圧力などを指しています。

人は自分の中の「本当の自分」と外部から期待された役割を生きる「偽りの自分」の両面をもって生きているのですね。

 

この二面性が全く違う方向になると、とても苦しい思いをします。

「本当はこうしたいけど、これをしないといけない」

 

ですが、「これをすることによって、自分の思いも実現できる」といったように、自分も大切にしながら、他者の思いも大切にすることで自分の喜びにつながっていく。

難しいことですが、この統合化・自己受容によって、人は自分自身に対する自信を取り戻し、自分の本音を恐れることなく話せるようになります。

 

1人1人のホールネスが実現できている組織は、心理的安全性の土台があり、安心感のあるダイアローグにより学習が進み、間違えなく強いチームになると思います。

 

そのような組織づくりのためには、まずリーダー自身がホールネスのお手本を見せなければなりません。

「部下からどう思われるか?」「部下になめられないように」など考えるのではなく、自分の弱さも勇気をもって開示していかなければ、部下も弱さを見せられなくなります。

 

リーダーがチームに与える影響は大きいというのは言わずもがな、心理的安全性のある場所をつくるためにできることがたくさんあります。

 

本書P125 エドモンドソンが提唱するリーダーの行動

 

以上のことをまとめて、学習する組織への道のりとその先にもたらすものを図表化してみました。

 

        

 

上記図を作成しながら、ありのままの自分を表現することが、顧客の幸せにつながっていくということに気が付きました。

 

やはりこの現代において、自分の心や周りの人の心を大事にしていくことが、ビジネス上でも、生きていく中でも、何よりも大切なのだと学びました。

 

 

・・ちょっと抽象的かつ飛躍的な結論になってしまいましたが(汗)、心理的安全性の話に因んで少し気になる記事を見つけたので、最後に問題提起させてください。

 

www.works-i.com

 

リクルートワークスの調査結果によると、心理的安全性を高めることで、あらゆる成果に結びつく一方、若手社員にとっては、何もかも認めてくれるような「ゆるい職場」に対しては危機感を感じ、離職につながる傾向があるようです。

 

若手の皆さん、どうなんでしょう?!

 

心理的安全性の場づくりとともに、成長を実感できる場づくりも重要ということですよね・・

 

リーダーの皆さん、どうしましょうか?!!笑

 

この難題はまたじっくり考えていきたいと思います。

 

 

今回は本書300ページのうち、数ページしかまとめられていないというほど、本当に一部の内容しか取り上げられていませんが、私にとっては本質に触れるような示唆に富んだ気付きにつながったと感じています。

 

3つのパラダイムシフトの中で求められる組織像についても、「学習する組織」以外に、「共感する組織」、「自走する組織」と挙げられており、それぞれまた違った視点で多様な学びを得ることができます。

 

第6章の最後まで読むと、本のタイトルの意味がわかるでしょう。

 

 

 

 

今日もお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

先週から幕開けしたW杯!!

日本はドイツ相手に歴史的な快挙を成し遂げましたね!!!

あんなに歓喜したのはいつぶりだろうか・・テレビの前で飛び跳ねてました。笑

明日のコスタリカ戦も頑張ってほしいな~