03_「人の行動を変えるにはどうしたらよいか?」

こんにちは。

最近、急に暑くなってきましたね!

5月はじまり早くも初夏を感じる今日この頃ですが、第3冊目の本について書いていきたいと思います。

 

今回の本は、政府からの緊急事態宣言後、いざ来週から在宅勤務になるというときに、上司から「課題図書です!」と言い渡されたものです。

(在宅だからといって決して休むわけではないのですが・・笑)

 

表紙がいかにも学術書のようで、これは読むのに時間がかかりそうだな・・と少し苦笑いしながら「ありがとうございます」と答えたのですが、その本が想像以上に面白かったのです!

 

結局、最初に感じた不安は杞憂に終わり、4~5日で読み終わってしまいました。

 

 

私が今まで知らなかった分野であり、新しい視点を身につけることができたのはこちらの本のおかげです。

(課題図書を与えてくださった上司にも感謝申し上げます)

 

03_行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論-

 

みなさんは「行動分析学」を知っていましたか?

 

私は本書に出会うまで聞いたことがありませんでした。

「行動」とは誰もが身近なテーマでありながら、普段からあまり深く考えることはないかもしれません。

 

しかし、1つ1つの行動によってその後の運命が変わるといっても過言ではないくらい、重要で意義のある研究分野だと思います。

 

 

「なぜ人はこのような行動をとるのか?」

「ある人にこの行動をさせるにはどうしたらよいのか?」

「どのように人の行動を変えられるのか?」

 ・・・なんてことを知ってみたいとは思いませんか?

 

 

本書では、行動分析学の基礎知識を単に説明するのではなく、ある架空の会社が繰り広げるストーリーを通して、非常にわかりやすく解説されています。

 

そのストーリーの中で、サカモトさんという方が登場するのですが、この方こそ私の目指したい理想像だと感じました。

HRビジネスパートナーとして、人や組織に関連する会社の問題や現場からの相談に対し、行動分析学を応用させて次々と解決していくスーパーマンです!

 

 

 

今回はそのサカモトさんから学んだ行動分析学の中でも、今後、私が特に覚えておきたい・応用していきたい内容を書いていきます。

 

 

 その1.行動の随伴性を考えよ!

 

みなさん!突然ですが、

「意見を言わない」原因は何だと考えられますか?

 

 

「やる気がないから」「恥ずかしいから」「意見が思いつかないから」・・・

周囲に当てはまる人がいればいろいろと思いつくかもしれません。

 

多くの人は、やる気、能力、意識など、心の中に行動の原因があると考えます。

この考え方は医学モデルと呼ばれています。

 

しかし、医学モデルを使った行動分析をすると、行動の本当の理由を見つけにくく、問題解決につながらないといった弊害が起きてしまいます。

 

そこで、問題となる行動を改善するためには、行動分析学での考え方が必要になるというわけです。

 

 

まず、行動分析学を理解するにあたって、一番重要な原理があります。

 

行動随伴性行動と行動直後の状況の変化との関係で、行動の原因を解明し、行動を改善するための枠組み (p.32 引用)

 

つまり、行動分析学においては行動は、行動直後の状況変化によって変わる「行動の真の原因は行動の直後にある」という根本原理に基づいて行動を分析し、改善していきます。

(行動直後とは、60秒以内とされています。それ以降は効果が薄くなる。)

 

 

それでは実際に行動分析学を応用してどのように行動を分析し、改善させていくのかというと、下記図(ダイアグラム)を作成して考えていきます。

 

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行動の随伴性を分析するツール「随伴性ダイアグラム」



<ダイアグラムを書く手順 >

①誰のどの行動を分析するかを決め、対象となる行動を真ん中に書く

②行動の直後(60秒以内)に起きたことを「直後」に書く。

③行動の直前に起きていることを「直前」に書く。(直前直後は対称的に書く)

④ある行動が直後に起きた状況変化によって「強化」されたか「弱化」されたかを矢印で示す

 

※「強化」・「弱化」の定義

「強化」:行動の回数や強度が増えること。または、増やす操作(p.33 引用)

「弱化」:行動の回数や強度が減ること。または、減らす操作(p.36 引用)

 

先ほどの例を使って考えてみましょう。

もし、ある人が意見を言った直後、誰かが批判する(欠点を指摘する)という状況変化があったとすると、下記図のように表すことができます。

(本書中には載っていない例ですが、わかりやすいように応用して書いてみます)

 

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つまり、直後に起きた「周囲が批判する」というできごとにより、「意見を言う」という行動が弱化していることが示されています。

 

今回の例では「周囲が批判する」というできごとのように、ある行動を減らす刺激やできごとのことを「嫌子」といい、またその逆を「好子」といいます。

 

※「好子」・「嫌子」の定義

「好子」:行動の直後に出現すると行動を増やす刺激やできごと(p.34 引用)

嫌子」:行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと(p.51 引用)

 

したがって、「意見を言わない」原因を行動分析学的に言えば、嫌子の出現により行動が弱化している(嫌子出現の弱化)と分析することができます。(説明は後述します)

 

 

次に、どのように行動を変化させるかという改善策を考えるにあたり、四つの基本随伴性という定式があります。

この考え方をマスターすれば、相手・自分の行動のほとんどの原因が理解できるとされています。

 

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四つの基本随伴性(p.55 表2-1 引用)

上記のようなマトリクスを1つ1つ説明すると以下のようになります。

 

①「好子出現の強化」:行動の直後に好子が出現すると行動は増加する

②「好子消失の弱化」:行動の直後に好子が消失すると行動は減少する

③「嫌子出現の弱化」:行動の直後に嫌子が出現すると行動は減少する

④「嫌子消失の強化」:行動の直後に嫌子が消失すると行動は増加する

 

この基本随伴性を理解した上で、まず行動の原因を分析するためにダイアグラムを書き、上記①~④のうち、どの随伴性で行動が制御されているのか判断することで、同時に改善方法も見えてきます。

 

 

今回の例に戻って改善策を考えると、上記①・④を応用することで、「意見を言う」という行動を増やすことができます。

 

①「好子出現の強化」・・・ex. 意見を言った直後、褒める、笑顔でうなづく

④「嫌子消失の強化」・・・ex. 意見を言った直後、批判をしない

 

逆に、意見を言うという行動を減らしたいならば、上記②・③を応用することで実現させることができると考えられます。

 

このように、行動を変えるには随伴性を変えればよいということです

 

 

 

 

私はこの考え方に則り、目下の問題となっている、外出自粛という行動を増やすにはどうしたらよいか考えてみました。

 

まず、外出自粛をしないという問題を下記のダイアグラムにて表します。

 

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つまり、外出自粛をすることでストレスが溜まるという嫌子が出現し、外出自粛という行動が減少している状況です。

 

そこで、下記の改善策を提案します!

 

「好子出現の強化」・・・ex. 外出を自粛した際、国から割引券がもらえる

 (例えば、3日間連続でスマホの位置情報が住居場所にあった際、緊急事態宣言解消後に利用できるレストラン割引券がもらえるなど)

 

嫌子消失の強化」・・・ex. 家でできるストレス発散法を促進する

 (例えば、家の中や家の前の狭いスペースでも可能な運動法を伝授するなど)

 → これはすでに運動に限らずあらゆる方法が紹介されていますよね。

 

 

ちなみに、外出という行動を減らすといった逆のアプローチも試みましたが、好子消失や嫌子出現を考えるとかなりネガティブな話になるのでやめました・・

(外出によってストレスを発散させないようにする、罰金を科す、など)

 

 

いずれにしても、ある行動・その直後の変化を基本随伴性に当てはめると、行動の原因や改善方法が明確になりやすいということがわかりました!

 

 

その2.シェイピングを用いて成長を加速せよ!

 

本書中の架空のストーリーでは、ある営業の新人君を早く即戦力として育てたいといった現場の相談に対し、サカモトさんがシェイピングと呼ばれる方法で解決しています。

 

シェイピングとは、形をつくるという意味で、これまで身についていない行動の形を作り上げる方法とされています。

 

つまり、シェイピングを用いることで、新しいスキルを獲得させ、人の成長を加速させることができます!

 

具体的な手順は以下の通りです。

 

<シェイピングの手順>

1)最終目標となる目標行動を決める

2)最終目標に至るまでのプロセスを書き出す

3)プロセスのうち、今現在自分ができる行動の中から出発点の行動を選ぶ

4)出発点の行動を十分に強化する

5)出発点の行動ができたら好子を与える

6)出発点の行動が十分にできるようになったら次の段階の行動を強化する

7)今現在の課題行動ができたら次の段階へと徐々にハードルを上げていき、最終目標を達成できるまで続ける

 

わかりやすくするため、営業の新人君に置き換えて下記のように図示化してみました。

 

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(「万歳」と入力すると「🙌」と出力されることを初めて知りました)

 

実際はもっとプロセスを細分化し、1つ1つのハードルの差を縮めることで、達成する頻度や好子の数が増え、挫折せずに取り組むことができるそうです。

 

さらに、この方法は新人の育成場面だけでなく、自己学習等にも転用することができます!

 

そこで!

 

私は将来、海外各国の方と英語で人事についてディスカッションできるようになりたいと思っていますので、「伝えたいことを英語で即座に表現できるようになる!」ということを最終目標にしてシェイピングを活用してみようと思います。

 

<最終目標に至るまでのプロセス>

①語彙や表現のストックを増やす(=出発点)

 ex.  海外ドラマを見たり英語の雑誌を読んだりして、使えそうな単語や表現をまとめる

②調べながら英語でアウトプットする

 ex. 日記を英語で書く、日本語の雑誌などを英訳する

③目に見えるものの描写や事実説明をする

 ex. TOEIC SW問題を解く、普段から目に見える景色を英語で描写する

④実際にコミュニケーションを取る

 ex. オンライン英会話で①~③で学んだことを実践する

⑤業務上で伝えたいことを英語で即座に表現する(=最終目標)

 ex. 積極的に英語を活用する仕事に挑戦する

 

<好子>

①~⑤までそれぞれ数値目標を掲げ、達成するごとに旅行の計画を立てる!

 

 

よし、書いただけでモチベーションが上がりました!!

シェイプという名の通り、形だけで満足して終わらないように、明日から頑張りたいと思います!!

 

 

本書では、他にも、行動の先行刺激について(行動の原因が行動に先立つ刺激やできごとにあるとする考え方)や、ある行動を適切なタイミングで引き起こす方法(プロンプトという)、好子・嫌子の効力を変える方法(確立操作という)など、普段の行動を分析・改善する方法がたくさん解説されています。

 

行動分析学はビジネス上だけでなく、教育やスポーツ、地域社会における省エネやリサイクルの促進、健康、医学、動物のしつけ、などなど守備範囲が広いです!!

 

妻(夫)や上司(部下)に、

ある行動をしてほしい(やめてほしい)と思っている方、

組織全体のパフォーマンスを高めたいと思っている方、

自分の行動を改善したいと思っている方、

ぜひ本書を読んで行動分析学を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

ちなみに、ステイホーム期間の暇つぶしに買ったジグソーパズルですが、もう完成してしまいました・・

 

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マイクロピース1000ピースでとても細かく、肩が凝ってしまいましたが、やっぱりハマった時の達成感が醍醐味ですよね。

 

緊急事態宣言期間も1ヶ月延長されたことですし、次は何か面白い海外ドラマを発掘したいと思います。