23_「信じて任せフォローする。世界一流リーダーシップの真髄!」

うぁー!もう2024年も、はや3ヶ月が経ってしまった・・・

絶賛、花粉飛散中ですね。

昨年末は歯の治療に2ヶ月以上かかり、その間は片方の歯で嚙み続け、やっと今年入って治った!と思ったら、新年早々に風邪を引いて、1ヶ月以上、咳が止まらず。

やっと体調が戻ってきた!と思ったら今度は花粉症との闘い。

いったい、いつになったら体調万全になれるのか・・

(おし~えて~おじいさん~♬ by アルプスの少女ハイジ

 

先日、旦那から「この本は面白いから読んでみな」と渡された本がありまして、Kindle派の彼がわざわざ紙書籍を購入するのだから、相当の学びがあり、手元に置いておきたかったのだろうと想像しました。

 

受け取ったときは、事務職の私は読み手の対象として想定されていないだろうなと思われ、特にこの人事ブログに反映させる内容ではないと思っていました。

ところがどっこい、本の帯にはなぜか経営学者の楠木健先生によるコメントがあり、「おやおや?」と首を傾げ、読んでみて納得。

人事の私としても新たな気付きが多く、これは私の記憶にも留めておきたいと感じ、ブログの1ページを刻みました。

 

今回、私自身は絶対手に取らないであろう本から思いがけず学んだ、これからの理想的な組織の在り方・働き方をまとめていきたいと思います。

 

なぜ手に取らないかといえば、タイトルを見ていただければわかるでしょう。

 

23_「世界一流エンジニア思考法」

 

そうです!

本書は米マイクロソフトで働くシニアエンジニア、牛尾剛さんによって執筆された、エンジニア向けの著書なのです!

 

著者は、米マイクロソフトにいる世界一流エンジニア(本書で言えば技術イケメン)が、どんなマインドで仕事を進めているのか、どのようなチームで、何を目指しているのかなど、ご自身の経験や実在人物のエピソードを踏まえて、大変わかりやすくまとめられています。

 

人事職を読み手の対象とした書籍では、どうしても理論やデータをふんだんに使ったストーリーが多いですが、本書はそういった内容がほとんど出てこないのも私にとって新鮮でした。

 

本書で学んだ内容+人事の専門的内容を組み合わせ、より知識を深化させていきたいと思います。

 

 

その1.「サーバントリーダーシップ」とは?

 

突然ですが、みなさんの上司はどんなタイプですか?

 

細かく指示し、進捗状況の報告、確認を求めるタイプでしょうか?

それとも、ビジョンだけ示し、あとは基本みなさんにお任せするタイプでしょうか?

 

実は、前者が「コマンドアンドコントロール」、後者が「サーバントリーダーシップ」と呼ばれるマネジメントスタイルです。

 

「コマンドアンドコントロール」と「サーバントリーダーシップ」の違い
(本書P167 図14を参考に作成)

(↑ちょっと可愛く作成できました!)

 

「コマンドアンドコントロール」:リーダーが部下に指示を出し、部下の状況を把握、確認し、管理していく。

サーバントリーダーシップ」:リーダーはビジョンとKPIは示すが、実際にどのように動くかは、チームが主体的に考えて意思決定していく。

(本書P166引用)

 

コマンドアンドコントロール、マイクロマネジメント、あるいは支配型リーダーシップとも言われるスタイルは日本企業にも一般的な概念であり、みなさんも想像つきやすいかと思いますが、サーバントリーダーシップは少しなじみのない言葉かもしれません。

 

サーバントリーダーシップサーバント(Servant)とは、「使用人」「召使い」といった意味で、組織に奉仕するリーダーということになります。

この概念は、マネジメントに関する研究者であるアメリカのロバート・グリーンリーフによって、1970年に提唱されました。

 

マイクロソフトでは、各チーム・会社全体でこのサーバントリーダーシップスタイルが浸透しているそうです。

著者の上司(ダミアンさん)もそのお手本のような存在だそうですが、著者はサーバントリーダーシップでは、メンバーを大人扱いすると捉えています。

 

確かに、右も左もわからないような状態のときは「あれをやれ」「これをするな」と指示した方がスムーズかもしれませんが(=コマンドアンドコントロール)、ずっと子ども扱いでは、いつまでたっても自分で考え行動するマインドが生まれませんね。上司の言う通りに行動するだけでは、イノベーションも生まれにくいと思います。

 

上司は黙ってメンバーを信頼し、任せてみる。何かあったらフォローする。

このスタンスが良いのですね。

 

キャリア自律に関しても同じようなことが言われており、今後は会社が一律的に社員を管理していくのではなく、一人一人が自分で自分のキャリアを主体的に歩んでいくことが大切とされています。

 

つまり、現代では、社員はもっと自由に考え行動していくと同時に自分の言動に責任を持つ。会社や上司はビジョンだけ明確に示し、あとは各個人が歩きやすいようにサポートしていく。

このような関係性が求められているのではないかと感じました。

 

会社(上司)・社員(部下)間の関係性の変化イメージ図

(↑これも可愛くできました♬あくまで私の勝手なイメージですのであしからず)

 

 

そろそろ「私もサーバントするぞ~!」と思い始める頃かと思いますので(?)

もう少し踏み込みたい方は、ぜひ以下のサイトでサーバントリーダーシップの10の属性を学んでみてください!具体的にどうしたらよいかヒントが得られると思います。

スピアーズによるサーバント・リーダーの属性 | NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会

 

 

その2.自己組織チームの導入

 

サーバントリーダーシップが浸透すると、チームが自ら考えて意思決定する「自己組織チーム」が機能します。

自己組織チームになると、どんなメリットがあるでしょうか?

本書では「自己組織チーム」の特徴を3つ挙げています。

 

<自己組織チームの3つの特徴>

1.生産性が高い

2.チームのエンゲージメント(満足度)が高い

3.よりよいソリューションが選択されやすい

(本書P171引用)

 

基本的に、リーダーがいろいろと言えば言うほどチームは指示待ちになる。

何かを決定するのに時間がかかり、指示通りの仕事はつまらない。

 

一方、チーム内の裁量で決められればスピードが上がる!

自分たちで考えて主体的に仕事をした方が楽しくなる!

技術の最先端を一番理解している現場が様々な選択をした方が質が良い!

 

良いことづくしじゃないかっ!!

 

にもかかわらず、日本ではまだまだ上意下達な仕事の進め方が主流のような気がします。

 

これに対しては持論があり、ビジネス以前に、日本の学校教育の中で自然と身についてしまう習慣なのではないでしょうか?

 

先生の言う通りに行動する一方的なコミュニケーション。

部活動では強制的に先輩をリスペクトすることが求められ、コーチの指示通り練習する。

 

この状態が社会人になっても続いているのではないかと思います。

 

そこで私の目を引いたのが、2023年甲子園の優勝校、慶応義塾高等学校の指導方針です。

 

みなさんも記憶に新しいと思いますが、「髪型自由」「長時間練習なし」など、これまでの高校野球の常識を覆す方針で脚光を浴びましたね。

 

そんな慶応高校野球部を率いたのが森林貴彦監督。

最終目標は当然「日本一」だったのですが、その先に、「日本一になることで、高校野球を変え、今まで支えてきてくれた人に恩返しする」という目的をチームみんなで決めたそうです。

 

監督は、大きなビジョンを全員で共有し、

「部員たちに任せる」「任せたからには信じる」「信じて待つ」

ということを実現されました。

 

さらに、みんな野球が好きで入部しているので、好きなことなら言われなくても自ら練習する。うまくなりたいから自ら追及する。この考え方をベースに「エンジョイ・ベイスボール」を浸透させたのです。

 

本書においても「できる人たちにのびのびとパフォーマンスを発揮してほしかったら、何よりもチームメンバーが「仕事を楽しめる」環境をつくることだ。と記されており(本書P199引用)、上司は各メンバーが楽しめるようにサポートするそうです。

 

そして慶応高校は見事日本一。高校野球の在り方を見つめ直すきっかけをつくり、最終目的も達成されたように思います。

まさに森林監督がサーバントリーダーシップを発揮され、チームメンバーを大人扱いし、自己組織チームとして目的達成された格好の事例ではないかと考えています。

 

参考:

慶応高校野球部・森林監督、甲子園を優勝したからこそ言える「高校野球の半分は嫌い」の真意 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

 

 

今回は本書の第5章「生産性を高めるチームビルディング」の内容を中心にまとめてしまいましたが、本書のメインテーマである「思考法」に関しても印象的な言葉や考え方が多く、エンジニアに限らず誰が読んでも自分に刺さる一文があるはずです。

 

ぜひあなたの視点で世界一流を味わってみてください。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

 

今日は久しぶりに有給を取り、一人のんびり過ごしました。

初めて行く場所の散歩は楽しいですね!

たまたま立ち寄ったカフェで美味しいランチをいただきました~♬

みなさんもたまには息抜きしてくださいね(^^)/

 

 

22_「エンゲージメント向上のキーポイント・キーパーソンとは?」

 

★★メリークリスマス★★

あああぁー!もう2023年も残り1週間ですね・・

今年は本当に早かった・・(毎年言ってるけど)

そして前回の投稿から半年も経っている・・

 

完全なる言い訳ですが、ここ最近、仕事が充実しており残業もそこそこしていたため、なかなかブログに手が付きませんでした。

あと、家事に奮闘するなかで「日常生活において理科って大事だな」と改めて思い、物理がわかりやすく描かれているマンガなどを読んでいました。

(自動車のセンサーに超音波が使われていて、人間には聞こえない音を出して障害物から跳ね返ってきた時間で障害物との距離が計算されているということを初めて知りました)

 

ただ、今年ラスト1冊は書き上げたい!と思い、久しぶりに愛用のsurfaceを開きました。(筆を執りましたみたいな)

 

先日あるセミナーに参加した際、講師が参考文献にしていた著書があり、読んでみたいなと思って上司に伝えたところ、

上司「これ私持っていますので貸しますよ」と。さすがです。

 

2023年ラストはまたまた上司からお借りしたこちらの1冊です。

(もう何冊借りているだろうか・・)

 

22_「エンゲージメント経営」

 

以前、エンゲージメントについて取り上げましたが、(13_「業績向上のカギはエンゲージメントにあり!」)今回はより深堀りしていきたいと思います。

 

著者はコーン・フェリー(アメリカの人事コンサル会社)の柴田彰さん。

本書では世界規模で実施されるコーン・フェリーのあらゆるサーベイ結果やインタビュー内容をもとにご自身の見解が記されています。

 

将来的には日本全体のエンゲージメントを高めたいと標榜する私にとって、「やっぱりそうだよね」と自身の考えを裏付けできる内容が詰まっていました。

 

これこそエンゲージメントの本質じゃないか?と思わされたポイントと、エンゲージメントを高めるためのキーポイント。これらをまとめて、2023年を締めくくりたいと思います。

 

待ってろ、2024ーーー!!!

 

(?)

 

その1.日本のエンゲージメントが低い理由

 

日本は世界と比べてエンゲージメントが低い!ということは以前取り上げましたが、

なぜ低いのでしょうか?

 

私は1つの理由として、そもそも日本人の国民性が調査に反映されているような気がしています。

[3:よい、2:どちらともいえない、1:悪い]という選択肢があれば、真ん中の2を選びやすい曖昧な国民性なのではないかと。

あと私のもう1つの疑念としては、会社の規模によってエンゲージメントの高低に差があるのではないかと。

全企業のうち中小企業が99%を占める日本においては、どんなに1%の大企業が頑張ってもなかなか数値として表れないかもしれません。

以前、元ゴールドマンサックスアナリストで現在は小西美術工藝社社長(お寺の修復工事業者)を務めるデービッド・アトキンソン氏が「中小企業改革」の重要性を訴える記事を読み、私にとって新たな視点だったことを覚えています。

 

あらゆる背景があると思いますが、一概に、日本の総力が低いということではないのではないかと。(そう信じたい)

いつか日本のエンゲージメント数値のからくりを調べてみたいと思っています。

 

それはさておき。

 

著者は次のように考察されています。

かつての経済環境には適していた共同体的な組織運営と、現在の若年~中堅層の働くことに対する価値基準のズレにこそ、日本の社員エンゲージメントが低い原因の本質がある(本書 P35引用)

 

確かに、終身雇用を前提とした長期視点の育成や帰属意識を重視した風土(本書の言葉を借りれば「ムラ社会」)は現代の価値観とは大きなギャップが生じます。

不景気で見通しのつかない不確実な現代においては、一度入社した会社に入ったからといって安心できることはなく、職業人としての価値を高めようと努力し、自己成長を重要視しています。

 

企業はその時代その時代に生きる社会人の価値観にマッチする環境を絶えずつくっていくことが重要ということですね!

本書は2018年に発行されていますので、その後のコロナ禍を経て、また働く人の価値観が変わっているかもしれません。

 

その2.エンゲージメントの本質

 

で?具体的に何をどうすればエンゲージメントが向上するっていうのよ?

(ちょっと強気なお姉さん風)

ということで、

 

ここで登場するのが、コーン・フェリーのサーベイ結果です。

 

社員エンゲージメントと相関が高いドライバー(本書P48図表13を参考に作成)


上記表では、日本の会社において、社員エンゲージメントの高低と相関のあるドライバー8項目が高い順に並べられています。

 

これは私も予想外でしたが、なんと1位は「顧客に提供する体験的価値への自信」なんですね!

 

体験的価値とは英語でいうと、Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンス)のことで、自社の製品やサービスを通じて顧客が体験することができる感覚的、情緒的な価値のことである。(本書P49引用)

 

つまり、顧客に対して感動や満足感を持ってもらえる製品やサービスを提供できているという自負心がエンゲージメントを高めるのです。

 

そして同じく意外性でいえば、7位の「自社の戦略と目標に対する信頼感」

 

これは「自社の戦略が信じられるか?」と聞いているわけだから、戦略の合理性や正しさではなく、琴線に触れる戦略かどうかという主観的な情緒の問題だと解説されており、大変納得しました。

 

この結果を見て、「顧客への提供価値」「自社の戦略に対する信頼感」いずれにしても、やはり、人は「世の中のため、誰かのために役立っている」という自覚を持つことが最もモチベーションになるのではないかと思いました。

これこそ、人間の本質であり、エンゲージメントの本質であると考えます。

 

エンゲージメントの高い総合商社において、社員は「国(日本)の発展に貢献している」という自負心を持ち、「日本の基幹産業の商流を支える」といったメッセージが経営陣から繰り返し発信され、実際にそう感じている社員が多いそうです。

 

エンゲージメントは会社と社員の絆ともいえますが、

その絆を結びつけるのが、会社の製品・サービスであり、ビジョンである

といえるのではないでしょうか。

 

人事としては、いかに自社の存在意義を社員に感じさせることができるか、ということに腐心していくべきですよね。

結局は、一人一人の承認欲求を満たしていくことが重要なのだと思います。

 

 

(ちなみに、「自分のニーズに即した福利厚生の充実」がエンゲージメントと最も相関が低い項目だったみたいです。そこにこだわりすぎるのは筋違いですね。)

 

 

その3.エンゲージメントを高めるためのキーパーソン

 

前述のように、エンゲージメントを高めていくためには、会社のビジョンや存在意義を社員に伝えていくことが肝心ですが、そう一筋縄にはいきませんよね・・

 

みなさんは自社のビジョンが何なのかわかりますか?

それはあなたにとって共鳴できるものですか?

 

どちらもYES!という方は少ないのではないでしょうか・・?

 

全社ミーティングやイントラネットなどを通して伝達される経営からのメッセージを、社員がみんな同じレベルで同じ内容として受け止めるということはありません。

 

そこでキーパーソンとなるのが、ミドルマネージャー、いわゆる中間管理職です。

 

中間管理職が間に立って経営からのメッセージを咀嚼し、個々の社員の心に届くよう努力する義務がある。社員の知識や理解が不足していれば補強し、一人ひとりの思考様式に沿った形で情報を伝達しなければならない。それなくしては、どんなに経営が向かうべき道を示して社員を動機付けようと試みても、叶わぬ夢になってしまう。(本書P132引用)

 

これはかなりハードルが高いかと思いますが、実際に中間管理職が部下のエンゲージメントに与える影響は大きく、著者はコーン・フェリーのサーベイから特に次の4つの項目が重要だと分析しました。

 

中間管理職に関係する項目の4類型(本書P139 図表21 を参考に作成)

 

上記4つの項目について上手く対応している上司のもとで働く部下はエンゲージメントが高い傾向にあるということですね。

 

改めてみてみると、

 

おや・・・

 

すべてこちらのブログで取り扱ってきた内容ばかりではありませんか!

エネルのイラスト(ONE PIECE)

(いらすとやがONE PIECEとコラボしてた!!)

 

①組織のビジョン共有→今回

②キャリア開発

15_「今こそ自分のキャリアに向き合ってみませんか?」 - odmik’s diary

③フィードバック

14_「マネージャーにはデータを持って戦わせよ!」 - odmik’s diary

④情緒的なケア=EQ(感情マネジメント)

12_「リーダーたるもの己の感情を理解すべし!」 - odmik’s diary

 

やはり人事の取り組みは点ではなく線でつながっているのですね。

あらゆる人事施策の総合評価がエンゲージメントといえるかもしれません。

 

 

本書はこのあと、社員のエンゲージメントを高めるためにはやはり中間管理職のリーダーシップが必要不可欠ということで、リーダーシップ論にまで話を展開させています。

 

本書1冊読むだけで、エンゲージメントだけでなく、モチベーション論やリーダーシップ論、キャリア開発に関する内容など、幅広く周辺知識を学ぶことができます。

もちろん経営陣や人事にとっても役立つ良書ですが、今回は特にミドルマネージャーの方々に読んでいただけると、部下のエンゲージメント向上のために有益な情報が得られると思います。

 

まずは目の前の社員を幸せにすることで、巡り巡って、働くことに喜びを感じるビジネスパーソンが増えていくことを願っています。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

~ア

(色合いがクリスマスバージョン)

 

今年はいろんな新しいことにチャレンジしました。

メルカリ、株式投資、X(旧Twitter)の人事の集まりに参加してみる・・

その中でも今後ずっと続けていきたい趣味を見つけました!

フラワーアレンジメントです🌸

 

↑手作りのクリスマスリースです♬

リースの輪は始まりも終わりもない、永遠の愛を表しているそうです。

 

来年も皆様にとって充実した幸せな日々が過ごせますように・・!

 

21_「学びのドライバーを見つけ、自らの専門性を高めよ!」

 

こーんにーちはー!!!

(錦鯉の手つきで)

 

金曜日はすごい台風でしたね・・皆さん大丈夫でしたでしょうか?

うちの庭で育てていたトマトたちは茎がボキボキと折れてしまいましたが(泣)、それ以外は特に被害なく済みました。

 

最近は地震も多く、北から飛んでくる人工衛星(?)やら何やら・・スマホの緊急速報が忙しく鳴っていますが、常に危機管理をしつつ安心できる日常をつくっていきたいですね。

 

さて、2023年も折り返し地点!

今回は21冊目です!

 

実は2022年5月から約1年にわたって、とある大学のキャリア関連講座を受けていました。最後に「学び直し」に関する課題が出たのですが、なかなか考えがまとまらない・・

そんな煮詰まった状況に新たな視点を取り入れたい!と焦るようにして購入したこちらの本が、課題を進める私の手を加速させてくれました。

 

21_「キャリアをつくる独学力~プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント」

 

なぜこの本を買ったのかといえば、当時受講していた講座に著者の高橋俊介先生も登壇され、立て板に水のごとくお話しされる姿が印象に残っており、「本書が出版されました~!」と紹介いただいたことを思い出したからです。

 

皆さん「キャリアショック」という言葉を聞いたことはありませんか?

その名の生みの親が高橋先生です。

もともとは国鉄で働いていましたが、その後コンサルティング会社の社長を経て、長年にわたり人事関連を専門として研究を重ね、講演活動や人材育成支援などを行っています。

 

本書のテーマとなる「学び」についてですが、近年、厚労省が、学び・学び直しに関する促進ガイドラインを打ち出し、「さぁ皆さん学習しなさいよ」と労働者の尻を叩いています。

職場における学び・学び直し促進ガイドライン|厚生労働省

 

常に学習意欲のある人にとったら、「何をいまさら・・」といった印象かと思いますが、DXの大波に荒らされている現代においては、業務プロセスや業務自体が変化していきますので、ますます新たな学び・学び直しが求められているのですね。

 

さらに「キャリア自律」を進めるうえでも、「学び」が重要であることは言わずもがな、高橋先生は学びの主体性=「独学力」が必要不可欠な条件だとして、本書では「独学力」と「仕事の自律」・「キャリアの自律」を結び付けて展開されています。

 

今回は、本書メインテーマの「独学力」の基本となる考え方と、私がこれまでの経験でつくづく大事だよなぁと実感している「専門性コンピタンシー」の2本立てでお送りします。

 

チャンネルはそのままで~

(なぜかテレビ番組風)

 

その1.学びのWHY

 

本書を開くとすぐに「独学」という文字が目に入り、「独学」といえば我流で学ぶことといったニュアンスが浮かびがちですが、本書では「学びの主体性」を独学と呼んでいます。

 

そして、「学びの主体性」は次の3要素から成ると述べられています。

(以下、本書P4を引用)

 

本書P4 図表0-1を参考に作成 独学=「学びの主体性」の3つの要素

 

①学びのWhy

まず「なぜ学ぶのか」という学びのドライバーとなる動機が自分自身の内面から湧き上がることが必要

 

②学びのWhat

次に「何を学ぶのか」という学びのテーマを自分で考える

 

③学びのHow

そして、「いかに学ぶか」という学び方について数ある選択肢から選ぶ

 

この①から③がそろってはじめて独学と言えるということですね。

そして仕事においても個人が「Why(なぜやるか)」「What(何をやるか)」「How(どのようにやるか)」を主体的に決めて取り組んでいけば、「仕事の自律性」も実現されます。

さらに、この「学びの主体性」と「仕事の自律性」がスパイラルアップしていくと、「キャリア自律」も達成できるという好循環になるわけですね。

 

この考え方はとてもわかりやすいものですが、私はこの中でもとりわけ「学びのWhy」を見つけることが最も困難で、最も重要であると考えています。

 

皆さんは自ら必要だと感じて何かを学習されていますか?

それとも、会社から勉強しろと言われ、仕方なく学んでいますか?

そもそも、自己学習なんてしていないでしょうか?

(推測するに、この記事をここまで読んでくださっている皆さんは勤勉な方ではないかと)

 

リクルートワークス研究所2018『どうすれば人は学ぶのか-「社会人の学び」を解析する-』によれば、過去1年間に仕事に関わる自己学習を行った人は雇用者全体の33.1%しかいませんでした。

では、特に学習を行っていなかった約70%の人はなぜ学習をしていないのか?といえば、「忙しい」「費用がかかる」「学習方法がわからない」などの選択肢を抑え、「あてはまるものがない」と回答した人が50%を超えたのです。

つまり、学ぶ人に学ぶ理由はあっても、学ばない人に学ばない理由などないということです。

 

この事実は私にとって衝撃でした・・

 

どんなに会社が学びの機会提供や環境整備、学習費用を支援したとしても、「学びのWhy」が個々人の内的モチベーションから湧き上がるものでなければ、単なる受験勉強の押し付けになってしまいますよね。

 

では、学ばない人に対してはどのようにアプローチしたらよいのでしょうか?

 

学ぶ理由がない人はそもそもキャリア自律ができていないのではないかと思います。

理想のキャリア実現に向けて走っている人は、何も言われなくとも自ら必要に応じて学んでいきます。

 

よって、会社の支援としては、まずは一人一人のキャリアに向き合い、学ぶ必要性をそれぞれが認識し、モチベーションを高める支援をしていく。そのうえで、何を学ぶのか、どのように学ぶのかについて情報提供していくというステップが有効だと感じます。

 

つまり、高橋先生の提唱するスパイラルアップ(学び自律・仕事自律の連鎖によるキャリア自律の達成)とは逆方向の考え方もあるのではないでしょうか。

 

自身の理想のキャリアを考えるうえで、自ら必要だと思う学習を行い、仕事にも前向きに取り組んでいく。その結果、エンゲージメントも向上する。

この方向性は本書でも登場する法政大の石山恒貴先生によって検証されています。

【キャリア自律が専門性コミットメントに媒介されてワークエンゲージメントを高めていく】(本書P203引用)

※専門性コミットメント:専門性にコミットするためには自らの能力やスキルの向上に努める必要がある=学ぶ主体性

 

「学ぶ」ことはあくまでもキャリア実現のための手段であり、まずは自身の人生と向き合うことが学ぶ主体性の第一歩ではないかと思っています。

 

(早速、高橋先生が読者に求める「自論」を展開してみました!)

 

 

その2.専門性コンピタンシーの強化

 

先ほど、石山先生の検証結果で「専門性コミットメント」という言葉が出てきましたが、専門性コミットメントにより高い成果を継続的かつ安定的に出すことのできる専門的知見および行動能力、思考能力を「専門性コンピタンシー」といいます。(本書P216引用)

そして、専門性コンピタンシーの高い人=プロフェッショナル人材となるわけですね。

 

私は予てから専門性を持つことの重要性を認識していました。

専門性を持つ人は立ち位置が定まり、「あの人に聞けばわかるだろう」といったように、周りから頼られる存在になります。

言い過ぎかもしれませんが、自分の専門性は仕事上で自分を自分たらしめるものになるのではないかと考えています。

 

さらに、自身の専門分野を深めていくだけでなく、周辺知識の拡大も重要です。

直面する問題の背景にある本質的課題を掘り下げるため、次の「学びのWhat」を考え、主体的に学びを広げていく。(本書P232引用)

 

まさに、T型人材ですね!

(TT兄弟ではないですよ?)

 

 

T型人材がさらに2つの専門領域を持つと、π型(パイ型)人材になります。

ここまでくるとかなり希少価値の高い人材です。

そのほか、H型人材、J型人材などいろいろと何型人材とありますが、自分がどのような人材を目指すのか考え、行動していきたいですね。

(ちなみに私の血液型はA型です。どうでもよいですね。)

 

本書の中でコーヒー職人がより極めるためにワインを学んだという話が印象的でしたが、私も人事分野の知識を深化させると同時に、周辺分野の「脳科学」「心理学」「感情」「言葉」などについても学んでいきたいと思っています。

 

ところで、

「私は事務手続きのプロさ!社内の手続きは一通りこなせるで!」

という方は、専門性コンピタンシーが高いといえるでしょうか?

 

高橋先生は「専門性」を次の3つの要素に分けられています。

(以下、本書P224~226を参考)

 

①実務的専門性

仕事の経験を通じて、手続きや制度運用、例外対応などの実務に詳しいこと。

既存の業務の運営は継続的にできるが、「なぜそうなのか?」と問題提起しても、「そういうものだ」としか答えられず、変革や創造は望めない。

 

②体系的専門性

学校などでの専門的教育や自身の勉強などで身に付けた体系的、理論的な専門性。

基本原則を理解しているが、これだけでは理屈倒れで終わる可能性がある。

 

③先端的専門性

当該分野での変革や創造の先端事例や最新の動向にアンテナを張って常に勉強し、その世界の先端を行く人たちとの交流などによって専門性を継続的に高めていくこと。

 

いかがでしょうか・・?

①実務的専門性に留まっていませんか?

 

自分がコミットしようとしている専門性について、実務・理論・先端すべてにおいて継続的に取り組んでいくことで、「プロフェッショナル人材」になるのだろうと思います。

 

 

本書では最後まで読み進めると、最終章にて、サブタイトルの「プロフェッショナル人材として生き抜くヒント」が本書の内容のまとめとして50個列挙されています。

それぞれ段階を踏んだ6つのステップに分かれているのですが、まず最初に挙げられているのが、やはり「まず自分が主体的に学んだテーマについて、自分の学びのドライブは何からきているのか?」を考えてみること。

 

皆さんも自身の「学びのWhy」を認識することから始めてみませんか?

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!!

 

 

アディショナルタイム

 

台風の次の日の午後。

晴れてきたので、「さぁトマトたちを修復するか」と夢中になっていたら、

七分袖を着ていた私の腕が真っ赤に焼けてしまいました・・

 

あぁ~油断した~と思いながらも、

もう日焼け止め・日傘が欠かせない季節になったのだなぁと

初夏の日差しを感じるのでした^^

 

20_「人を見る目を養い、相手の心にディープ・ダイブ!」

皆さん!GWですよー!!

いかがお過ごしでしょうか?

 

今日から連休に入る人が多く、ニュースでは高速道路の渋滞や新幹線の混雑が報じられ、街中では外国の方も増えてきたように感じます。

コロナが落ち着いてきて、やっと日常が戻ってきましたね。

今年はお祭りや花火大会も行けるかな~

 

はい!今回は短スパンで更新です!!!

(私の中では)

しかも切りよく20冊目!

今年はこの調子でいくぞ~!

(やる気だけは十分)

 

先日、久しぶりに大きな書店に行ってプラプラしていたら、あらゆるコーナーに並べられていた本が気になって手に取ったのですが、レジが並んでいたので、よーし、近所の本屋で買おっと。と思って行ってみたら、まさかのお目当ての本が置いておらず、ええーと落胆しつつ、結局、次の日、勤務地の近くの本屋で手に入れました。

(長いですね)

 

なかなか手に入らなかった幻の本(?)が、こちらです。

 

20_「経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術」

 

これ手に入れるまでは時間がかかりましたが、ページをめくり始めたら1~2日で読み終わりました。

なんといっても、著者のテンポの良い語り口がたまりません。笑

難しい言葉を使わず、長々書くこともなく、たまにクスっとなるようなツッコミあり。さすが人と対峙されているプロだなぁと感心しました。

 

そんな語り手(本来は聞き手?)のプロが、本書の著者である小野壮彦さん。

ベンチャーでうまくいかなくなったとき、我が子の寝顔を見ながら、自分が一番稼げることは何か?と考え探した末に「人を選ぶ」仕事、エゴンゼンダー社でのヘッドハンターとなりました。そこで習得したノウハウを本書で紹介してくださっています。

 

このエゴンゼンダー社というのが初めて知ったのですが、かなりイカつい会社です!

エゴンゼンダーは、スイスに本拠地の置く「超高級ヘッドハンティング集団」。

大手企業の後継者選びや、経営陣の人選びをお手伝いするが、対象人材は年に1億円以上稼ぐようなトップクラスのエグゼクティブであり、人選びの失敗は許されない。

特に驚いたのは、同社への入社面接回数は、ミニマムで30回もあるという!!

(3回の間違いではない!)←著者自らこのツッコミ最高でした。笑

 

面接をくぐり抜けた小野さんは只者ではないはず・・

私のような凡人は決して経験することのない貴重な話を公開してくださったことに感謝しながら、ありがたく習得させていただきます。

 

その1.人を見るためのフレームワーク

 

みなさんはこんな面接をした/受けたことはありませんか?

 

行き当たりばったりに聞いていく

面接のチェック項目があり、表面的に確認していく

自分が興味のあるところだけ深掘りしていく

 

ありがちな例を挙げてみましたが、このような面接では、人によって聞く内容に偏りが生じたり、本来聞くべきことの抜け漏れが発生したりする可能性がありますよね。

 

そもそも、「採用面接って何を聞いたらよいの?」という方や、自己流で進めてしまっているという方も多いのではないでしょうか?

 

そこで著者は、私たちが人を選ぶスキルを高めていくために、フレームワーク(型)を持つことが近道だと述べています。

 

人を見るための思考の枠組みとなるフレームワークを持ってはじめて、なりゆき任せではない、意志を込めた試行錯誤が可能となり、習得が進むのである。

(本書P77引用)

 

いきなり醍醐味!!秘伝のフレームワークが次の通りです!!

 

人を4つの階層で捉える(本書P78図表を参考に作成)

 

人を見る際、人間を建築物のように階層として捉えていく。

地上に出ている部分ほど他人から見えやすく、変わりやすい。

地下に潜れば潜るほど見えにくく、変わりにくい。

 

それでは、各階層について説明していきます。

 

---------------------------------------------

地上1階:「経験・知識・スキル」

これらの内容は履歴書類を見るだけで読み解くことができる。

ただし、捏造できてしまうような浅い情報であるため、これだけを聞いて判断してしまうのはリスクがある。

---------------------------------------------

地下1階:「コンピテンシー

より深く相手を知るために、コンピテンシー(行動特性)を確認していく。

コンピテンシー面接については

11_「絶対に成功する科学的な採用面接とは?」 - odmik’s diary

をご参考ください!)

 

コンピテンシーを確認する際は、相手の「意見」ではなく「事実」を聞くことに注視し、将来の行動を予測する。

---------------------------------------------

地下2階:「ポテンシャル」

地上階や地下1階の内容は学習と体験を通じて習得でき、変化していくもの(コップに注がれる水)であるが、地下2階はポテンシャル=器(コップそのもの)になる。

 

「伸びしろですねぇ」

(by  本田圭佑

 

「伸びしろしかないわっ」

(by  Creepy Nuts

 

エゴンゼンダー社が2014年に発表したのが「ポテンシャル・モデル」であり、人の器は4つの因子で測ることができる。

(以下、本書P98-100引用)

 

ポテンシャル因子①「好奇心」

新しい経験、知識、率直なフィードバックを求めるエネルギーの強さと、学習と変化への開放性

 

ポテンシャル因子②「洞察力」

新しい可能性を示唆する情報を収集し、理解するエネルギーの強さ

 

ポテンシャル因子③「共鳴力」

感情と論理を使って、自身の想いや説得力のあるビジョンを伝え、人々とつながろうとするエネルギーの強さ

 

ポテンシャル因子④「胆力」

大きなチャレンジがある課題を好み、困難な目標に向かって戦うことに強いエネルギーを得て、逆境から素早く立ち直る力を持つ

---------------------------------------------

地下3階:「ソース・オブ・エナジー

これは地下2階まででは説明しきれない相手の精神性について、著者が提唱したコンセプトである。ソース・オブ・エナジー(エネルギーの源泉)を構成するのは次の2つ。

 

「使命感」

「子供の頃に家族を病気で失ったので、自分がいつかその病気を治したい」

「若い頃に旅した発展途上国の子供たちを何とかしてあげたい」

といったような、揺るがない強固な精神性

 

「劣等感」

貧乏、兄弟姉妹、学歴、外見、いじめ、などの環境やきっかけから持つコンプレックス

アドラーがいうように、劣等感を補うために努力することで人は成長できますよね)

---------------------------------------------

 

まず、このフレームワークを見た時にハッとしたことは、私はこれまでの面接で、過去の実績や行動特性(地下1階まで)のみ確認していたということです。

現代は移り変わりが早く、現状求められている能力が2~3年後には変わっている可能性があり、過去を評価した指標だけでは不足しています。今後は、成長のできるポテンシャルを持つ人材が望まれます。

とはいっても、ポテンシャルだけ見ていては即戦力につながりませんので、過去と未来の両面を見ていく必要があると考えました。

また、ソース・オブ・エナジーは非常に納得できます。これがあるかないかで、仕事ぶりが全く異なるだろうということは想像に難くないですね。

著者は志望動機を聞くことは意味がないという見解ですが、私も同意見で、採用面接では聞かないようにしています。

ただその代わり、転職理由やこれまでの経験などを聞くことから、相手のソース・オブ・エナジー(その人の強い想い)があるかどうか確認できるはずですので、これからはこの観点を頭に入れて面接に臨みたいと思います。

 

 

その2.面接に臨む心構え

 

続いて、本書では実践メソッドとして、面接に臨む心構えがいくつか説明されていますが、その中でも特に覚えておきたい点をまとめます。

 

と・・箇条書きしたところで面白くないので、今回は学んだ内容を踏まえて、私がこれから実践したいと思う面接の流れをイメージしてみたいと思います。

しばしodmik劇場にお付き合いくださいませ。

 

 

~とある面接の20分前~

 

よーし、次は〇〇さんの面接だな。温かい紅茶でも飲みながら、履歴書類をもう一度確認するか。

(人を見ることは非常に繊細で集中力を要する行為のため、まずは自らの心を整えて挑みたい。本書P132より。)

 

あ、〇〇さんが当社の受付に到着したみたいだ。

とびっきりの笑顔でお迎えしよう。

(相手はこれから面接ということで少なくとも緊張している。身構えているところに満面の笑みで現れたらギャップ萌えだ。本書P139より。)

 

まずは相手をリラックスさせるため、アイスブレイクするぞ。

「今日はご来社ありがとうございます。」

「ここまで迷わず来られましたか?」

(相手の素の姿を捉えないまま間違った人を採用してしまえば大きな損失になる。最初の1分間のショート・トークを無駄にしないだけで、面接の質は格段に上がる。本書P144より)

 

~面接中~

 

自分の脳をボーっとさせ、相手の全体像を捉えよう。

あれ・・今、候補者の顔が一瞬曇ったような・・

(人間の脳はリラックスした状態のときにもっとも活性化される=デフォルト・モード・ネットワーク。相手の回答を理解、整理することばかりに集中すれば、表情やリアクションなどの重要なファクターが目に入らない。本書P166より。)

 

~面接終了後~

 

良い人だったけど・・なんだろう、何か引っかかるな。

エージェントに聞いてみるか、次の面接で確認してもらおうか・・

(モヤモヤした気持ちが浮かんだらスルーせず、何かあるかもしれないと疑ってみた方がよい。こうした違和感は人間の脳に与えられた危険察知能力なのかもしれない。本書P168より。)

 

~To be continued~

 

やはりエゴンゼンダー社であっても、相手がトップエグゼクティブであっても、面接の基本姿勢は変わらないのだと安心しました。

まずは笑顔で自分も相手もリラックスできる雰囲気をつくる。相手に素を出してもらうためには、私たち面接する側の心構えにかかっています。

 

人を見るためのフレームワークと併せて実践し、「意識的に見る・考える」ことを繰り返しながら体に染みこなせ(スポーツのように!)、人を選ぶスキルを高めていきたいです。

 

 

本書では、採用面接をする場面だけでなく、ビジネスにおける人を見る場面(リーダーを選ぶ、部下のポテンシャルを見極めるなど)や、プライベートで人を見る場面(仲間を探す、デートの相手を探すなど)の視点も踏まえているため、だれでも役立つ知識が身につくと思います。

 

最後に、終章で印象に残った著者のメッセージを受け止め、まとめさせていただきます。

 

もちろん他人を完璧に見抜くことはできないし、人は時間とともに変化し成長していきます。だからこそ、相手はこういう人だと決めつけるのではなく、愛を持って人を見続けていきましょう。

 

 

本日もありがとうございました!

 

 

アディショナルタイム

 

みなさんズッキーニのお花って見たことありますか?

うちで育てているズッキーニの可愛いお花が咲きましたので、お披露目です。

 

 

夏には実ができるといいな~

 

19_「オンボーディングで新入社員にスムーズな船出を!」

皆さん!春が来ました!

新学期、新年度、新しい生活が始まりましたね~!

今年の花粉はひどかったですが、やっと落ち着いてきました・・

 

それにしても、この時期、風物詩になっている新卒社員の真っ黒コーデ。笑

黒いスーツ、黒いカバン、黒い髪の毛。一発で新卒社員だってわかりますよね。

これは私が新卒の時から変わっていませんが、日本人の価値観が変わらない限りはこの格好がずっと続くんでしょうかね~

 

さて、今年に入って2冊目となりますが、今回は珍しく目的ありきの購読です!

(大半はなんとなく気になった本を読むことが多い)

エンゲージメント施策の一環として、当社では新しく入社した社員に対し、入社後の状況を把握してフォローしていこう!ということになりました。

ならば!基礎知識を学ぼうじゃないかということで、こちらの本を購入しました。

 

19_「組織になじませる力」

 

みなさんは今の会社に入社したとき、スムーズになじむことができましたか?

 

私は3年前に転職したのですが、職場や仕事に慣れるまで3ヶ月くらいかかりました。

前職は、ザ・昭和の日本メーカーという感じで、明るく挨拶しながら和気あいあいとした雰囲気でしたが、現職は外資メーカーであり、最初は職場の静けさにびっくりしました。1人1人が黙々と仕事を進めていて、話すときはコソコソと・・

でもこれはこれで、住めば都。慣れればとても集中できて良い職場です。

 

ただ、人によっては、

「全然話せる人がいない・・これは誰に聞けばよいんだろう?」

「なんか入社前に聞いていた話と違うな・・」

「前職ではうまくいっていたのに、ここではうまくいかない・・」

といったように、なかなかなじめず、早々に退職を考えてしまうケースもあるのではないでしょうか?

 

そこで!!今注目されているのが、

「オンボーディング」です。

 

オンボーディング(On-boarding)とは・・

「もともと、オンボーディングは船や飛行機に乗っているという意味です。新卒採用者や中途採用者など、会社という乗り物に新しく加わった個人を同じ乗組員としてなじませ、一人前にしていくプロセス」を指しています。

(本書 P25引用)

 

RMS Message「変わるオンボーディング(2021.8)」より、とっても素敵な絵だと思って載せてしまいました・・まさにこんなイメージですよね✨ジグソーパズルにしてほしい笑)

https://www.recruit-ms.co.jp/research/journal/pdf/j202108/m63_all.pdf

 

 

また、クレイン&ポリン(2012)は、オンボーディングを「新入社員の適応を促進する組織やエージェントによって従事される、公式、非公式な訓練、プログラム、政策」と定義しています。

 

本書では、このオンボーディング(組織になじませる力)を研究された甲南大学の尾形教授によって、その概要がわかりやすくまとめられています。

 

そして私が驚いたのは、約10年前にオンボーディングの論文を発表したクレイン&ポリンさんのお二人はオハイオ州立大学の教授であり、アメリカにおいてもオンボーディングの重要性を認識しているということ!

 

私の勝手な偏見ですが、アメリカでは去る者は追わず・・といった流動的な転職社会をイメージしていて、社員に定着してもらうための施策はあまり検討されていないものと思っていました・・

 

しかし、やはりこのVUCAの世の中、欲しい人材を採用するのは難しく、せっかく迎え入れた社員がすぐに辞められることは会社にとってかなりの損害ですから、アメリカにおいても取り組むべき内容としてオンボーディングが認知されているのですかね~

 

これまでも、社員の定着施策(リテンション)はあらゆる観点から研究されていましたが、とりわけ新入社員に対してスムーズな組織への適応を促すオンボーディングは少し新しい概念であり、今回は全体像を捉える良い機会になりました!

 

それでは皆様、オンボーディングを学ぶ旅へ、

Bon Voyage(ボンボヤージュ)!!

 

その1.オンボーディングを捉えるフレームワーク

 

オンボーディングの意味はもう上述した通りですが、では具体的に何をやったらよいのでしょうか?

 

施策を考えるにあたって非常に有効なフレームワークがありまして、オンボーディングを次の3つの機能に分けて整理されています。

(以下、本書P26-29参照 クレイン&ヒューザー

 

********************

1)情報を与えるインフォーム(Inform)行動

新入社員に情報や道具、円滑に活動していく方法を学べる経験を提供する

①コミュニケーション

・パンフレット等で情報を伝える

・人事部員や同僚、上司とのコミュニケーションの機会をつくる

②リソースの提供

・新入社員のために作られたウェブサイトを教える

・会社全体で使われている略語などの用語集を与える

③トレーニングプログラム

・スキルや知識の習得を促進するためのプログラム

オリエンテーション/会社の施設見学/OJTなど

 

2)ウェルカム(Welcome)行動

新入社員を歓迎し、同僚と顔合わせできる機会を提供する

・社長からのウェルカムメッセージ

・歓迎会を開く

・新入社員の入社を全社にアナウンスする

 

3)ガイド(Guide)行動

新入社員をサポートする指南役を割り当てる(いわゆるメンター)

********************

 

いかがでしょうか?自社でも実現できそうだと思いませんか?

オンボーディングは円滑な組織への適応を促すことで新入社員がいち早くパフォーマンスを発揮できるようにするという目的ですが、上記内容に取り組むことで、社員のエンゲージメントを高めることにもつながると思います。

エンゲージメント向上のためには、単にお金を注ぎ込むのではなく、工夫次第、気持ち次第で1人1人の心を掴むことができるのではないかと考えています。

お金で結ばれる関係は脆いため、心と心の信頼関係を結べるような会社でありたいですね。

 

私も早速このフレームワークに沿って、新入社員用イントラページの作成を上司に提案しました。

各事業部の業務内容や、管理スタッフ部門の担当一覧などを載せたら、会社の仕組みに対する理解の一助になるかな~なんて思っています。

 

 

その2.リアリティ・ショックに打ち勝て!

 

特に新卒社員が入社後に直面する適応課題・・それが、リアリティ・ショック(Reality shock)です。

各学者がそれぞれ定義されていますが、キャリア研究で著名なシャインは「個人が仕事に就く際の期待・現実感のギャップに由来するもの」と表現し、これが解決されないと、早期離職やモチベーションの低下などネガティブな反応を引き起こすとされています。

組織としてはフォローすべき課題であり、新卒に限らず、中途採用者においても、入社前の期待と現実のギャップに苦しむことが少なからずあるのではないでしょうか。

 

一見、リアリティ・ショックは害であり、ギャップをいかに無くすかという思考に走ってしまうかと思いますが、実は、これをうまく対処することで、ポジティブな成果につながるといわれています。

 

この考え方は私にとって新たな発見でした。

私は大学のゼミでリアリティ・ショックの概念は学習しており、当時からネガティブな印象を持っていたのですが、まさかポジティブな面もあったなんて!

(見直したぜ、リアリティ・ショックさんよ・・)

 

どんなポジティブ効果があるのかといえば、次の4つが挙げられています。

 

本書P60 表2-7 リアリティ・ショックのポジティブ効果


もちろんリアリティ・ショックは組織適応を阻害し、離職などのネガティブ反応を引き起こす側面があることは事実ですが、それを乗り越える過程で社員の成長につながるという点も理解しておく必要があるのですね。

 

会社としては、採用段階では応募者と正直に真摯に向き合い、できる限り必要のないギャップを埋めるように尽くす。そのうえで生じたリアリティ・ショックに関しては、本人が乗り越えられるようにフォローしていくことが重要だと感じました!

 

 

その3.プロアクティブ行動で組織になじめ!

 

オンボーディングは基本的に企業目線の施策として捉えられますが、新入社員自身が積極的な行動を取ることで、よりスムーズに組織適応が進められます。

 

プロアクティブ行動とは、「個人が自分自身や環境に影響を及ぼすような、先見的な行動であり、未来志向で変革思考の行動」と定義されています。

(本書P161引用 グラント&アッシュフォード)

 

では具体的な行動は?というと、本書にてまた図表化されていますので、編集して掲載させていただきます。

プロアクティブ行動と内容(本書P161-182を参照し編集)

(ジョブ・クラフティングについては、こちらをご参考ください↓↓)

13_「業績向上のカギはエンゲージメントにあり!」 - odmik’s diary

 

RMS Message「変わるオンボーディング」(2021.8)の調査においても、プロアクティブ行動は入社1・2年目の社員にとって、職務適応・職場適応に大きな影響をもたらしていることがわかります。

 

職務適応・職場適応に影響を及ぼす変数(RMS Massage「変わるオンボーディング」P32図表10)

 

会社は「組織になじませる力」を、個人はプロアクティブ行動によって「組織になじむ力」を、お互いに向上させていければ、よりオンボーディングが効果的に進められるということは明らかです。

 

会社の働きかけ、個人の頑張り、そして、忘れてはならないのは、職場すなわち上司の育成です!!

上司が新入社員を定着させ成長させることができれば、それが一番の近道でしょう!

人事としては、上司に対するトレーニングも含めてオンボーディング施策を検討していく必要がありますね。

 

 

本書では、インタビュー内容や具体例も多く、非常に読みやすいため、オンボーディングの教科書として活用できる一冊だと思います。

テレワークが普及した現代において、組織になじむことがより難しくなってきており、ますます会社・職場(上司)・個人がそれぞれ積極的に取り組むことが求められています。

 

当社はただでさえ中途社員のみで構成され、関係が希薄な会社だと感じているので、より一体感のある会社にするためにも、本書を参考にしながら「組織になじませる力」を高めていきたいと考えています。

 

 

今日もありがとうございました!!

 

 

アディショナルタイム

ちょっと前になりますが、WBC盛り上がりましたね~!!

そのときの熱のまま、毎日Youtubeで大谷選手を追いかけていますが、いつも逆転負けの「なおエ」。笑

(この表現、上手いですよね。だれが考えたんだろう・・?)

あと最近、ブルーロック(サッカーのアニメ)もハマっていましたが、1シーズンが終わってしまい、潔ロスです。

やっぱりスポーツは楽しい!と感じる今日この頃です^^

 

18_「これまでの日本企業とこれからの日本社会!」

あけましておめでとうございますー!!!

遅ればせながら(かなり)本年もよろしくお願いいたします。

 

2023年になり、もうあっという間に1ヶ月終了しました。

ついに、今年の5月にはコロナが第5類に変更され、マスクも外す生活になりそうですね!

あのダイヤモンド・プリンセス号のざわつきから丸3年・・・

withコロナの実現まであと少しです。

 

 

さて、2023年初の更新は、人事サーチ(私の勝手な造語で、人事の本を検索することを呼びます)をしていたところ、本のタイトルを見た瞬間に、

「え・・これはどんな内容なんだろう???」

と単純に気になってポチッた本についてです。

 

はい!全国の人事部長の皆様ー!注目です!!

 

18_「拝啓 人事部長殿」

 

本書はトヨタを3年で辞めた若手人事から人事部長の皆様へ向けた500ページをも超える超大作のお手紙です!!!

 

お手紙と聞くと、お、重い・・と感じる方もいるかもしれませんが、私はどちらかというと部下からの「レポート」を読んでいるというイメージでした。

(といっても、こんな優秀なレポートを部下から渡されたら、何段階も昇給させてあげたい!!と思っちゃいますけどね)

 

そんな優秀な若手人事こそが、著者の髙木一史さん。

(いつもは「著者」と呼びますが、なんとなく若手社員という点で親近感がわいているので、このあとは勝手に「髙木さん」と書かせていただきます)

髙木さんは新卒入社したトヨタにおいて、会社や上司の命令には逆らえない雰囲気や、一律で決められた制度の中で働くことの閉塞感に耐えられなくなり退職。その後、多様な個性を重視するサイボウズに転職されました。

本書では、自らの実体験をもとに、「どうしたら閉塞感のない企業を実現できるのか」を思案しながら、ご本人が勉強された内容や各企業から情報収集されたレポートがまとめられています。

そして最後にご自身の考えを展開し、「一緒に良い日本社会を作っていきましょう!」という締めくくりになっています。

 

髙木さんは人事経験6年目ということですが、私が同い年のときに日本社会のことまで考えていただろうか・・いや、自分自身や自分の組織のことしか考えていなかった・・

最近になってやっと、日本の競争力が落ちてきていて、私もなんとか貢献できないか?と考え始めたというのに、すでに行動に移している髙木さんの視座の高さに尊敬します。

 

お酒酌み交わし(?)いろいろと語りたいところですが、今回は私も関心のあった日本企業の歴史と、髙木さんがヒアリングした中で私が一番気になった企業の取り組みの2点についてクローズアップしたいと思います。

 

その1.日本企業の成り立ち

 

髙木さんは日本企業の閉塞感を考えるにあたり、日本の会社のしくみを学び直すことが必要と考えました。

背景を知ることは今を理解することにつながると思いますので、私もこれを機会に日本企業の歴史をまとめておきたいと思いました。

 

前回の記事では、世の中のイノベーションに注目したパラダイムシフトを少し振り返りましたが、今回はより焦点をしぼって、日本企業がどのように発展してきたのか、組織視点から記述します。

 

髙木さんの最初の疑問。

なぜ日本企業では一律平等なしくみが強いられているのか?

 

月曜から金曜日、9:00~18:00までみんな1つの場所で働く。

給与はみんな平等に上がっていく。

確かに、それが当たり前だと思っていましたが、改めてなぜでしょうか?

 

その答えをひも解くヒントは戦前から戦後にかけての変遷にありました。

(以下、本書P82~より参照)

 

【戦前1930年~】ホワイトカラーとブルーカラーの差別

戦前の日本企業では「ホワイトカラー系(職員)」のエリート層と「ブルーカラー系(工業員)」という区分で、昇進のスピードが異なったり、給与や待遇に大きな差がつけられたりと、理不尽に差別された状況が当たり前だったそうです。

 

【戦時中1940年~】仲間意識の醸成

いざ戦争が勃発すると日本企業は労働力不足に陥り、ブルーカラーに対する優遇策がとられるようになりました。だれもが貧しくなっていく中で、身分の違いに関係なく一緒にがんばっていこうという風潮が芽生えていきました。

 

【戦後1945年~】労働組合の結成により「会社の平等」を実現

敗戦後、アメリカは日本に対して「労働組合」の結成を促進しました。

欧米では職種別や産業別の労働組合が一般的でしたが、日本では企業別に労働組合を結成し、役割の違いに関係なく戦争を一緒に戦いぬいた仲間として「会社の平等」を実現することに力を注ぎました。

 

この動きの中で「職務に関係なく、社員であればだれでも一律平等に長期的に雇用されて階段をのぼっていくことができる」というしくみが誕生したのです。

 

今では「一律」であるということが個人の自由を阻んでいるように思えますが、当時は一律平等であることが社員の幸せにつながったのだと納得しました。

ただ、時代が変わってもこの考え方が刷新されず、閉塞感を生んでいる企業はまだまだ多いのではないでしょうか。

 

 

この後の流れは、たまたま日経新聞を読んでいた際に見つけた記事から取り上げます。

(以下、日本経済新聞「会社と社員、変革500年史 能率主義・戦争・多様性(2023/1/23)」より参照)

 

【高度経済成長期1955年~】日本型雇用システムが世界の脚光を浴びる

日本が高度成長期を迎えると、終身雇用を前提に企業内部で様々な仕事を経験する職場内訓練(OJT)を通じて、技能を高めながら昇給していく日本型雇用システムが世界の注目を集めました。

(「作れば売れる」この時代にはフィットした仕組みだったのでしょうね)

 

オイルショック1973年~】企業業績悪化により非正規雇用が増加

ところが第一次石油危機を皮切りに企業成績が悪化しました。会社はパートや派遣社員などの非正規社員を増やし、人員調整するようになりました。

1986年には男女雇用機会均等法が施行され、女性の労働参加も進んでいきました。

(ますます職場が多様化していく過渡期だったかもしれないですね)

 

【デジタル時代1990年後半~現在】新たな格差を引き起こす

そして皆さんも記憶に新しい、インターネットの誕生です。インターネットはグローバル化を一気に加速させ、国を超えた競争が激化しました。デジタル革命はさらなる格差を生み出し、IT分野で高い技術を持つ高収入の者もいれば、AIやデジタルの波に仕事を奪われる者もいます。

また、日本は世界と比べてみたときの格差も広がっている気がします。

(以下、日本経済新聞の参照ページより図表をダウンロード)

 

労働生産性に関して、日本は過去5年で2%しか上がっていません。

 

国民所得についても、日本は近年横ばいとなっており、米国やドイツと比べて3~4割下回っています。

 

一律平等な仕組みが機能していた時代は良かったけど、時代が変わって、価値観が多様化していく中で、その時代時代に合った仕組みを作っていかないと生き残っていけないのだろうと感じました。

 

「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」

(by チャールズ・ダーウィン

 

 

いつの世であっても、環境に適応していく柔軟さが重要なのだと考える今日この頃です。

 

 

その2.株式会社コンカーの取り組み

 

髙木さんは日本社会の歴史を学び視野を広げたうえで、トヨタで大切にされていた「現地現物」さながら、閉塞感を脱却するヒントを求めて、新しい会社のしくみにチャレンジしている企業の人事担当者に取材をしていきました。

 

レポートされた12企業の中で私が一番気になったのが「コンカー」です。

 

なぜ気になったのか?

それは、私の働いている企業と同じ外資系企業で規模も同じくらい。

にもかかわらず、雲泥の差を感じてしまったからです・・・

 

(以下、本書P345より参照)

 

株式会社コンカーは、米コンカーの日本法人として2011年に創業し、出張・経費精算システムを提供している会社です。

「働きがいのある会社づくり」を推進しており、その結果、5年連続で「Great Place to Work(働きがいのある会社)中規模部門で1位を獲得し、8年連続でベストカンパニー賞を受賞しています。

 

それに比べ、当社はエンゲージメントがそれほど高くなく、離職率も低くない傾向にあります。上司は「外資ではそんなもんだ」と言い、私も「外資だし規模もそれほど大きくないから仕方ないか・・」と思っていました。

しかし、コンカーの取り組みを知って、そんな言い訳していた自分が恥ずかしくなり、同時に悔しくもなりました。

 

コンカーと当社は何が違うのか?

当社にもできることはないのか?

 

そんな想いで読み進めました。

(つくづく、私は負けず嫌いで悔しさから動機が生まれる人間だと感じます)

 

 

コンカーが働きがいのある会社づくりのために重要視しているのが「コミュニケーション」です。

 

同社ではお互いの成長のために、上司、部下、同僚など全方位からフィードバックし合う文化を醸成しています。

 

まず入社研修では社長自らファシリテーターとなり、相手の良いところや成長を促すフィードバックを行います。

また、年1回全社員に対するアンケート調査によって、会社全体と他部門、上司に対して、それぞれ建設的な改善点あるいは優れている点などを集約し、可視化された課題に関しては、手挙げ式でタスクフォース(特別な役割を一時的に担うチーム)を立ち上げ、具体的な施策や課題解決につなげていく仕組みもあります。

(これ、当社でやりたいな・・)

 

ただ、本人にとって耳の痛いフィードバックをするためには日ごろからコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくことが重要になります。

 

そのために、会社がランチ代を負担して、「上司と部下のためのコミュニケーションランチ」「他部門のマネージャーからフィードバックを得られるタコランチ」「社長の三村と話すミムランチ」といった縦横斜めのコミュニケーションを促進しています。

 

普段からコミュニケーションを取っているからこそ、ミーティングの場では「発言していいんだな」といった心理的安全性が構築され、活発に議論がなされるそうです。

 

さらに、このような施策を実行し続けるため、「CCO(チーフ・カルチャー・オフィサー)」という文化醸成や社員エンゲージメントを促進する専任職がいるのです!

これは驚きました・・人事の仕事は社員のエンゲージメントを高めることだと考えているので、いつも日々のオペレーションに追われている私にとって、その専任職ができるのはとてもうらやましいと思いました。

 

このようなコンカーの取り組みは決して多大なコストがかかることもなく、内資外資、規模の大小などにかかわらず、どんな会社でも実行できる内容なのではないかと感じました。

ただ、根付かせるためには相当の時間とトップコミットメントが必要ですよね。

 

ローマの道は一日にしてならず。

 

私も地道に当社のエンゲージメントを高めるために試行錯誤し、最終的には日本全体のエンゲージメントを向上させたい!と考えています。

(これが私の仕事人生における最大目標です)

 

 

 

最後に、髙木さんが最終章で語った言葉が印象に残りましたので、引用させてください。

 

×:1人ではなにも変えられない

〇:1人だからなにも変えられない

(本書P511引用)

 

どんな会社も、同じ部署のメンバー、他部門の社員、労働組合、外部機関、経営層、あるいは他の会社まで、様々な人たちと協力することによって変革を進めています。

 

すべて1人でなんとかしようとするのではなく、今こそ、多様な価値観を認め合いながら同じ目的に向かって協働していく社会が求められているのだと思います。

 

全国の人事部長の皆様、ぜひ髙木さんの想いを受け取ってください。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

最近、ヨガを始めまして、一回参加するとそのあと一週間にわたって筋肉痛が続くというサイクルに苛まれています。

あれ・・こんなにヨガって大変なんだ・・と甘く見ていました。

(いや、私がかなり運動不足なだけかも)

 

皆様にとって健康な1年になりますように・・・!!

 

 

17_「現代に求められる組織づくりの核心!」

うわー!時間がだいぶ空いてしまいました・・

 

お久しぶりです。

つい最近まで今日は暑いなぁとか言っていた気がするのですが、気付けば紅葉が美しい季節に早変わり・・

もうそろそろ忘年会の予定を組み始め、今年もあっという間に終わってしまいそうですね。

あと年内にもう1冊の投稿ができればいいなぁ。

 

 

4ヶ月ぶりの第17冊目は、本屋でうろちょろ「何か人事の面白い本はないかな~」とパラパラ読み漁っていたところ、優しい字体と癒される絵に魅力を感じて、これにしよう!と決めました。

 

見てください、この可愛らしい絵を。

 

本書P29図

 

しかも、本書に記載されている図表が無料でダウンロードできるように公開されているのですね。

https://dakaboku.jp/

 

もう絶対、筆者は優しい人だ!!と確信しました。笑

 

とっかかりは完全に見た目だったのですが、読み進めてみると、

「あぁ、そうそう。」「なるほど、これは知らなかった!」

と、私にとっては「これまでの復習」と「新たな知識の習得」が交互にやってくるような、充実した本でした。

 

字体や絵だけでなく、なんと本自体の形にもこだわっている!こちらの本をまとめていきたいと思います。

(本の形は文章では表現しにくいので、ぜひ本屋で手に取って確認してみてください)

 

17_「だから僕たちは、組織を変えていける~やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた~」

 

ほら、サブタイトル「やさしいチーム」のつくりかた、ですよ!

絶対、優しい人が書いたに違いない。(しつこい笑)

 

そんな本書の筆者は斎藤徹先生。

日本IBMを退職後、ICT技術を活かしてベンチャー創業。現在は組織論や起業論を専門として、学習院大学の教授やビジネスブレイクスルー大学の教授も務められています。

学生からは「とんとん」と呼ばれているそうです。(か、かわいい・・・!)

 

なんだか、とんとん先生のプロフィールを読んで、人格が本の見た目や内容にも表れているのではないかと勝手ながら感じました。

 

 

さて、本書はまず社会の流れとパラダイムシフトから話が始まります。

 

その1.3つのパラダイムシフトと人間の価値

 

私たち人類がもたらしたイノベーションは農業革命→産業革命→情報革命と進化を遂げ、テクノロジーの発展により、次の3つのパラダイムシフトが起こります。

 

①デジタルシフト

1995年インターネットの登場により、ビジネス環境は大きく変化しました。

誰でもアイディア次第で起業ができたり、店舗がなくてもオンライン上で商品を販売することができたり。

世界との距離もぐっと近付き、私たちの視野はグローバルに広がっていきました。

 

②ソーシャルシフト

インターネット普及後は、FacebookTwitterなどのSNSYoutube食べログなどに代表されるソーシャルメディアが私たち人々の関係性に大きな影響をもたらしました。

人とのつながりが広がっていく中で、個人の発信力が強くなり、各企業は真正面から顧客や社員と向き合う必要性に迫られています。人から反感を買うような企業は衰退し、逆に共感をもらえる企業にとっては追い風となりました。

 

ライフシフト

そして2020年以降の新型コロナウィルスによるパンデミック。いまだ第8波に注意と毎日ニュースで促されています。

会いたい人と会えなかったり、行きたいところに行けなかったりする中で「自分にとって大事なものは何か?」と、多くの人が自分の生き方について考える時間が与えられたのではないでしょうか。

ビジネス上ではテレワークが急速に広がったことにより、多様な働き方が選べるようになりました。

(私も初めての在宅勤務の前日は、ワクワクしながらパソコンを自宅に持ち帰った記憶があります)

 

そして本書では、上記のような3つのシフトの中で求められる組織像について、どのように目指していくのか、各テーマごとにヒントが展開されていく構成になっています。

 

本題に入る前に、前提となる大事なポイントを抑えたいのですが・・

 

 

現代において、人間に求められる価値とは何でしょうか?

 

 

時代の流れを振り返ると、人の手や足を使って作業していたことが機械やロボットに置き換わり、人間の記憶や計算能力はコンピュータが代替するようになりました。

「10~20年後には、日本の労働人口の約49%がAIやロボットで代替可能」との恐ろしい研究結果も発表されています。(野村総研、2015年)

 

でもだからといって、人間が介在せず世の中が回ることはあり得ないですよね。

今後、組織は次のことを再認識して取り組んでいく必要があろうと強く思います。

 

「今、人間に残された価値は暗黙知であり「感性」であり「意志」である。「見えないもの」を深く理解できないと、人の心は動かない。組織は機能しない。今こそ、マネジメントは人間性に回帰すべきなのだ。」

(本書P47抜粋)

 

そうです!人間には「心」があるのです。

100年近く前のホーソン実験で解明されたように、人間を科学的に管理していくことには限界があり、もはや人の「心」を無視して物事を進めていくことはできないと思います。

 

機械やコンピュータには代替できない、人の「心」をいかに理解していくか。

ここに、人間の未来が託されている気がします。

 

 

・・と、かっこよく決まったところで(?)、

人間性を活かすマネジメント、一緒に学んでいきましょう!

 

 

その2.「学習する組織」を実現させるためには?

 

新しいパラダイムシフトの中で求められる組織像の1つは「学習する組織」です。

どんな組織かというと、本書では四コマでわかりやすく説明されていますので、ありがたく使わせていただきますね。

本書P53「学習する組織」

 

このように、危機こそが学習と成長のチャンスと捉え、「顧客の幸せを追求し、常に新しい価値を生み出す」組織ですね。

 

「学習する組織」の概念は1990年にピーター・センゲ氏が書いた著書により広まりました。センゲ氏は、環境変化が激しくなっていく中で、管理する組織ではなく、学習する組織へのシフトを促しました。そして、これを実現するためには、「ダイアローグ(対話)」が重要と唱えました。

 

ダイアローグは、ディスカッション(議論)と違って、結論を急ぐのではなく、それぞれが考えたことを場に出し、相互理解を深めるプロセスです。

この重要性を示唆した大規模な実験が「プロジェクト・アリストテレス」(2012)と呼ばれるグーグルの生産性改革プロジェクトであり、ある概念がビジネス界で一気に注目される発端になったのです!

 

 

それが、心理的安全性」です。

 

皆さんも一度は聞いたことがあるはず。

 

 

グーグルは4年にわたり「高い成果を生むチーム」が持つ成功因子は何なのか検証した結果、心理的安全性がチームの生産性を高める」と結論づけました。

 

心理的安全性とは、チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」とされており、個人能力の総和が同程度のチーム同士であっても、これがあるかないかでチームの生産性に大きな差が発生したということです。

 

これは実体験からも納得できます。

例えば、皆さんが上司や同僚に何を言っても受け入れてくれなかったり、反論されたりするとしたら、せっかく良いアイディアが思いついたとしても、何も言わなくなりませんか?

この状態では、ダイアローグが進まず、イノベーションが起こりえませんよね。

 

心理的安全性」はもともと1999年に経営学者エイミー・エドモンドソンが発表した概念ですが、人間の役割が人間たるものに回帰している今現代、より重要性が増したキーワードであると感じました。

 

では、心理的安全性を高めるためにはどうしたらよいでしょうか?

 

 

その3.ホールネスを実現し、心理的安全性の場をつくる

 

心理的安全性を構築するうえで最も基本となるのは、自然体な自分を取り戻すことです。

これをホールネスと呼びます。

つまり、ありのまま自分をさらけ出すことを意味します。

Let it go~♬ですね。

 

人間は、生を受けてから死を迎えるまで「内的なものを優先するのか、外的なものを優先するのか」を調整しながら成長する生き物である。

(本書P102引用)

 

内的なものは自分の生身の感覚、感情、欲求、衝動など。外的なものとは、自分以外のものからの要請や期待、言語化されない圧力などを指しています。

人は自分の中の「本当の自分」と外部から期待された役割を生きる「偽りの自分」の両面をもって生きているのですね。

 

この二面性が全く違う方向になると、とても苦しい思いをします。

「本当はこうしたいけど、これをしないといけない」

 

ですが、「これをすることによって、自分の思いも実現できる」といったように、自分も大切にしながら、他者の思いも大切にすることで自分の喜びにつながっていく。

難しいことですが、この統合化・自己受容によって、人は自分自身に対する自信を取り戻し、自分の本音を恐れることなく話せるようになります。

 

1人1人のホールネスが実現できている組織は、心理的安全性の土台があり、安心感のあるダイアローグにより学習が進み、間違えなく強いチームになると思います。

 

そのような組織づくりのためには、まずリーダー自身がホールネスのお手本を見せなければなりません。

「部下からどう思われるか?」「部下になめられないように」など考えるのではなく、自分の弱さも勇気をもって開示していかなければ、部下も弱さを見せられなくなります。

 

リーダーがチームに与える影響は大きいというのは言わずもがな、心理的安全性のある場所をつくるためにできることがたくさんあります。

 

本書P125 エドモンドソンが提唱するリーダーの行動

 

以上のことをまとめて、学習する組織への道のりとその先にもたらすものを図表化してみました。

 

        

 

上記図を作成しながら、ありのままの自分を表現することが、顧客の幸せにつながっていくということに気が付きました。

 

やはりこの現代において、自分の心や周りの人の心を大事にしていくことが、ビジネス上でも、生きていく中でも、何よりも大切なのだと学びました。

 

 

・・ちょっと抽象的かつ飛躍的な結論になってしまいましたが(汗)、心理的安全性の話に因んで少し気になる記事を見つけたので、最後に問題提起させてください。

 

www.works-i.com

 

リクルートワークスの調査結果によると、心理的安全性を高めることで、あらゆる成果に結びつく一方、若手社員にとっては、何もかも認めてくれるような「ゆるい職場」に対しては危機感を感じ、離職につながる傾向があるようです。

 

若手の皆さん、どうなんでしょう?!

 

心理的安全性の場づくりとともに、成長を実感できる場づくりも重要ということですよね・・

 

リーダーの皆さん、どうしましょうか?!!笑

 

この難題はまたじっくり考えていきたいと思います。

 

 

今回は本書300ページのうち、数ページしかまとめられていないというほど、本当に一部の内容しか取り上げられていませんが、私にとっては本質に触れるような示唆に富んだ気付きにつながったと感じています。

 

3つのパラダイムシフトの中で求められる組織像についても、「学習する組織」以外に、「共感する組織」、「自走する組織」と挙げられており、それぞれまた違った視点で多様な学びを得ることができます。

 

第6章の最後まで読むと、本のタイトルの意味がわかるでしょう。

 

 

 

 

今日もお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

アディショナルタイム

先週から幕開けしたW杯!!

日本はドイツ相手に歴史的な快挙を成し遂げましたね!!!

あんなに歓喜したのはいつぶりだろうか・・テレビの前で飛び跳ねてました。笑

明日のコスタリカ戦も頑張ってほしいな~